ガバナンス
リスクマネジメント
当社グループは、リスクマネジメントを持続的成長と企業価値向上の基盤と位置づけています。急速に変化する環境のなか、リスクを「事業目標達成に影響する不確実性」ととらえ、それを回避するだけでなく、機会として活用することで競争優位を確立します。ステークホルダーへの価値提供を継続するため、攻めのリスクマネジメントを実践しレジリエントな企業体質の構築を推進しています。
リスクマネジメント体制
当社グループは、取締役会を最高監督機関とし、代表取締役が任命した執行役員をリスクマネジメント最高責任者とする体制を整備しています。2025年度には、リスク専門部門を執行役員直轄の組織として再編し、全社的な方針策定、評価基準の統一、管理状況の監視・支援を担い、実効性を一層高めた「攻めのリスクマネジメント」を推進する体制となりました。
当社グループのリスクマネジメント体制は、「三線モデル」に基づき構築しています。第一線として、事業部門および本社機能部門がリスクオーナーとなり、日常業務におけるリスクを管理します。第二線として、リスク専門部門やリスクマネジメント委員会が横断的に進捗管理・支援を担い、特定領域のリスクは専門部門が全社的に調整します。第三線として、内部監査部門が独立的な立場から体制の有効性を評価し、リスクマネジメント委員会および取締役会へ報告します。
これにより、監督・執行・監査が相互に補完し合う仕組みを実現しています。
リスクマネジメントプロセス
社内外の環境は日々刻々と変化するため、適切なタイミングで対策を講じられるように、リスクマネジメント委員会を中心として、以下のプロセスでリスクマネジメントを実施しています。
リスクマネジメントの体制とプロセス

リスク対応の取り組み
当社グループでは、環境変化に的確に対応するため2024年度にリスク対応における「4象限フレームワーク」を定義し、体系的なリスク対応体制を構築しました。これまで実施していた「重点対応リスク」の特定・対応に加えて、本フレームワークの活用により、実効性を備えたリスク対応を実現します。
重要リスクの特定と対応
当社グループでは、リスク評価において一定基準を超えたものを「重点対応リスク」と位置づけ、当該年度の最重要課題として対応しています。重点対応リスクはリスク専門部門が年間のリスク低減計画を策定・モニタリングし、執行役員が定期的に確認・是正指示を行い、取締役会へ報告します。さらに、監査部門もリスク状況を把握し、管理体制の有効性を評価します。これらの活動により、重点対応リスクの管理を継続的に強化しています。
リスク対応の4象限フレームワーク
当社グループは、リスクの性質に応じて、次の「4象限フレームワーク」で対応体制を整備しています。現場固有や部門別のリスクには専門性を生かして迅速に対応し(第1象限)、部門横断的なリスクにはリスクマネジメント委員会が全社的な調整を担います(第2象限)。さらに、社会変化や技術革新に伴うエマージングリスクには、専門部門と外部専門家が連携し対応力を強化します(第3象限)。そして、経営戦略に直結する戦略的リスクは部門長・執行役員レベルで対応します(第4象限)。この枠組みにより、変化の激しい事業環境に対しても、機動的かつ効果的なリスク対応を推進します。
リスク対応の4象限フレームワーク

主な企業リスク一覧
リスクが顕在化した場合に備え、当社グループの事業運営や業績、社会的信用に影響を与えるリスクと対応策を、下記の通り特定しています。リスクは中計と連動して抽出し、定期的に進捗管理し、必要に応じて見直しています。
リスクマネジメント機能によりリスク発生の回避に努めるとともに、 発生時には適切な対応で影響を抑え、機会として活用します。
| リスク | 主な内容 | 主な対応策 |
|---|---|---|
| 経営戦略リスク | 既存事業の市場縮小・構造的衰退 |
|
| グローバル競争激化による価格競争・収益圧迫 |
|
|
| 脱炭素・循環型社会への対応遅れ |
|
|
| 新興リスク | 産業構造の変化 |
|
| サプライチェーンの地域集中リスクによる調達構造変化 | ||
| 社会的価値・倫理観の変化による 製品評価の変化 |
|
|
| 地政学・マクロ環境リスク | 地政学的緊張による事業停止・資金凍結 |
|
| 貿易摩擦・制裁による輸出入規制・ 関税負担の増加 |
||
| 為替市場の乱高下による収益変動 | ||
| 各国の環境規制強化による事業モデルの変化 | ||
| 環境・サステナビリティ 関連リスク |
PFAS※1規制などの化学物質規制強化による 製品設計・材料変更の必要性 |
|
| 排水・排ガス・廃棄物管理の不備による 環境事故・地域社会との摩擦 |
||
| Scope3排出量の開示義務化による サプライチェーン全体の対応負荷 |
|
|
| 気候変動による原材料・ エネルギーコストの急変 |
|
|
| 品質・製品リスク | 重大品質問題の発生による顧客離れ・ 認証取消し・訴訟 |
|
| 新規化学物質の毒性・安全性に関する長期的な 社会的責任 |
||
| 製品信頼性低下によるブランド毀損(きそん) | ||
| デジタル・ 情報セキュリティリスク |
サイバー攻撃による情報漏えい、操業停止 |
|
| セキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性の顕在化 | ||
| 基幹システムの切り替え・老朽化による 業務中断 |
|
|
| コンプライアンス・ レピュテーションリスク |
安全保障貿易・環境法令違反による行政処分・ 社会的信用低下 |
|
| 知的財産権の侵害・被侵害による訴訟・ 技術流出 |
|
|
| 人的・組織リスク | ハラスメント・人権侵害による企業評価の低下 |
|
| 高齢化・専門人材不足による技術継承・ 競争力低下 |
|
|
| 労働災害・健康リスクによる人材損失と 生産性低下 |
||
| 事業継続・インフラリスク | 自然災害・パンデミックによる製造・ 物流の停止 |
|
| 施設・インフラの停止による供給責任の未達 | ||
| 製造設備の老朽化による操業中断・安全事故 |
- ※1PFAS:有機フッ素化合物
- ※2SOC:Security Operation Centers