イノベーション

価値創出とビジネスモデルを支える知財戦略

当社グループでは、知的財産を重要な経営資産の1つと位置づけ、自社の特許ポートフォリオの構築や最適化に加え、IPランドスケープ※1などの知財インテリジェンス活動※2を積極的に社内に展開し、新規事業の創出や新規市場・用途の発掘を促進しています。
2025年度は、研究開発部門と知財機能が連携し、未来にアンテナを張り、先回りしてソリューションを提供するという当社のビジネスモデルに基づき、技術と知財の両面から価値創出を加速する体制を整えました。技術と知財の融合により、変化の先を見据えた価値創出を推進し、持続的な成長につなげています。

  • ※1IPランドスケープ:特許情報や技術動向データを多角的に分析し、市場環境や競合状況とあわせて可視化することで、事業戦略や研究開発方針の立案に活用する手法
  • ※2知財インテリジェンス活動:特許や技術動向、市場情報などを体系的に収集・分析し、事業戦略や新規市場開拓、競争力強化のための意思決定を支援する活動

知的財産戦略

当社の知的財産戦略は、以下の3つの戦略から構成されています。

ステージ1:自社および競合他社の知財競争力分析による事業性評価をもとに、グローバルで獲得した知的財産権を事業に活用する戦略

ステージ2:新規事業創出に向けて社内外の技術を掛け合わせる知財共創戦略

ステージ3:知財目線での人的資本投資と投資家との対話を強化する知財IR戦略

知的財産戦略ロードマップ

ステージ 1 コア特許活用戦略 成長領域の知財投資

当社では、差異化技術の確保とグローバルな事業競争力の強化に向け、主要国での知的財産権の取得と活用を推進しています。全保有特許に占める海外特許保有率は約66%であり、海外売上高比率約67%と整合したポートフォリオを構築しています(いずれも2025年3月期末時点)。
また、成長領域として位置づけるフォトニクス領域への知財投資にも積極的に取り組んでいます。2024年度の特許出願件数は、全体の10%を占めました。

成長・開発領域の特許出願件数の推移

なお、R&D関連の開発領域でも積極的な知財投資を進め、出願件数は全体の約30%を占めています。
当社のビジネスモデルである「デザイン・イン」や「スペック・イン」では、お客さまの技術課題やニーズを先取りし、当社のコア技術との掛け合わせによって生まれた新たなアイデアを知財として保護しています。これにより、直接顧客から最終顧客まで幅広いステークホルダーに対し、技術進化のトレンドを踏まえた競争力のあるソリューションの提供が可能となります。

主要国・地域における特許出願保有件数推移

ステージ 2 知財共創戦略 知財インテリジェンス活動

当社は、全社横断的にIPランドスケープを用いた知財分析情報を提供し、意思決定ツールとして活用する知財インテリジェンス活動を推進しています。
既存領域では、知財の視点から新技術や新市場、競合プレーヤーに関する情報を提供し、製品の質的強化と市場拡大を支えています。成長領域では、当社とベンチマーク企業の知財ポートフォリオを比較し、将来のあるべき姿を設定したうえで、その姿から逆算したバックキャスト型の知財戦略を策定しています。
さらに、イノベーション創出や共創・アライアンスでは最新の技術動向や学術データをもとに、成長の鍵となる技術や共創パートナーを探索し、未踏領域への進出を後押ししています。

知財インテリジェンス活動

ステージ 3 知財IR戦略 マテリアリティ「技術」と「人財」の強化施策

当社はマテリアリティとして「技術」と「人財」を掲げています。持続的な成長を続けるためには、高い技術力に加え、高度な知財マインドを備えた人財(発明者など)を継続的に創出し続けることが重要です。
その取り組みの1つとして、2023年度より初出発明者(当社に入社後初めて特許出願を行った発明者。中途入社者も含む)に対する報奨制度「はじめの一歩」を導入した結果、初出発明者は全発明者の約25%となりました。
さらには、2025年度より新たな施策として、充実した記載内容によりロールモデルとなり得る発明報告書を提案した発明者を表彰する「ベストプロポーザル賞」と、自らが高度な技法を駆使して特許調査を行った発明者を表彰する「ベストリサーチ賞」を試験的に導入しました。優れた発明報告書は強い特許権を取得するための根幹となるものであり、そのような発明報告書や調査スキルを社内で共有することで、発明提案力の向上・伝承を目指しています。
また、知財戦略やそれに基づく取り組みについて、一部投資家との対話を行っています。資本市場に対する当社のビジネスモデルの優位性や持続性などを含め、知財戦略の理解を深めていただくためのコミュニケーションを継続していきます。

マテリアリティ「技術」と「人財」を結びつけるイノベーション投資

オープンイノベーション

事業部、コーポレートR&D、新規事業創出に関連する各部署との間で、IPランドスケープをベースとした連携や議論が活発に進んだ結果、オープンイノベーションの機運が高まり、ビジネスパートナーの探索にさまざまな特許分析を活用しています。
オープンイノベーション活動の一例としては、WIPO GREEN(世界知的所有権機関が推進する環境技術・知財のマッチング・プラットフォーム)に参画し、グローバルで100件を超える自社の環境関連特許の有効活用を図っています。さらに、2023年4月には、東北大学と共同で「光メタセンシング®共創研究所」を設立し、双方の知的財産を生かしたオープンイノベーションを推進しています。