コーポレートガバナンス
基本的な考え方
当社は「Integrity 誠心誠意、真摯であれ」という経営理念のもと、企業活動をささえている全てのステークホルダーの信頼と期待に応え、持続的成長と企業価値の向上を図るために、コーポレートガバナンスの確立が極めて重要な課題であると考えています。
現体制の採用理由
当社は、より効率的かつ効果的な経営体制を構築すべく、コーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みを継続的におこなっています。
取締役会の構成においては、上場来、継続的に高い独立性かつ専門性を有する社外取締役が過半となる体制を構築しており、経営の透明性および客観性を確保しています。
さらに、2021年には監査等委員会設置会社へ移行することで、意思決定の迅速化と、モニタリング・モデルの推進に向けた取り組みを加速させています。
業務執行においては、執行役員制度を導入することで、積極的な権限委譲をおこなっています。
2019年には委任型執行役員制度の導入にともない、権限移譲を推進してきましたが、業務執行体制の更なる強化のため、2021年7月より全ての執行役員を委任契約の対象者とすることで、迅速な意思決定と業務執行責任の明確化を可能とする体制作りを推進しています。
役員の指名・報酬の決定プロセスにおいては、2019年7月に取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を設置しております。社外取締役が過半かつ委員長を務める委員会のなかで役員候補者の選定および役員報酬の決定などについて議論をおこなうことで、客観性と透明性を確保しています。

取締役・取締役会
当社の取締役会は、独立社外取締役4名と社内取締役3名の合計7名で構成されています。取締役会は原則として毎月1回定期開催し、法定事項の決議、重要な経営方針、戦略の決定、役員候補者の選定、個別報酬額の決定、業務執行の監督などをおこなっています。
独立社外取締役はいずれも経営者、専門家として豊富な経験や高い見識を持ち、独立した立場からの監督機能として役割を果たしています。
監査等委員・監査等委員会
監査等委員会は、監査等委員長(社外取締役)常勤監査等委員役(取締役)、監査等委員(社外取締役)の合計3名で構成されています。監査等委員長を社外取締役とすることで、監査の透明性・独立性を確保するとともに、常勤監査等委員1名を設置することで、監査の実効性を確保しています。
監査等委員である取締役は、専門的かつ客観的な視点から経営者に対して意見を述べることができるよう、多様な経験・知見を有する者を選任しており、経営に対する監視を強化しています。
執行役員・執行役員会
当社は、社内取締役との兼務者2名と業務執行にかかる委任契約を締結している執行役員4名の合計6名の執行役員を選任しております。執行役員会は、原則として毎月2回、執行役員6名を定例メンバーとして開催し、業務執行の状況と課題の検証、重要案件の事前討議などをおこなっています。
指名・報酬委員会
当社の指名・報酬委員会は、社外取締役4名(全員)および代表取締役2名の合計6名で構成されています。役員候補者の選定をはじめとして、役員の後継者育成プロセスの確認、役員報酬の決定に際しての業績評価、報酬構成や業績連動報酬の決定にあたっての評価指標の妥当性などについて議論をしています。
内部監査および監査等委員会監査
当社の内部監査部門は、監査の効果的、効率的な実施に努め、当社および当社グループ会社に対し内部統制システムの整備、コンプライアンス、リスク管理体制の遵守、整備状況を監査するとともに、内部監査の結果については、改善状況を定期的に確認し、その内容を監査等委員会、代表取締役および関係部署へ報告しています。
具体的には、期初に作成した監査計画にもとづき内部監査を実施し、被監査部門に対し監査結果を通知するとともに、監査等委員会および代表取締役に対し監査結果を周知の上、改善が必要な内容については、改善実施状況および結果を確認しています。
常勤監査等委員とは月次で打合せをおこない、監査の内容の確認、意見交換をおこなっています。
また、会計監査人とは四半期ごとに意見交換を実施し、内部監査で把握した内部統制に関する重要な事象に関しては、会計監査人へ情報を提供し、必要に応じて指導を受け、助言を得ています。
会計監査
会計監査につきましては、PwCあらた有限責任監査法人と監査契約を締結しており、同監査法人が会社法および金融商品取引法に基づく会計監査を実施しています。
なお、同監査法人および当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社との間には特別の利害関係はなく、また、同監査法人は、同一の業務執行社員が、当社の会計監査に一定期間を超えて関与することのないよう措置をとっています。
取締役候補者の指名にあたっての基本方針および手続き
当社は、取締役候補者(監査等委員である取締役を除く)を指名するにあたり、当社の企業理念に沿った判断力、実行力があり、人格・コミュニケーション力に優れ、リーダーシップを有すること等を基準として候補者を選定しています。また、社外取締役(監査等委員である取締役を除く)については、グローバル企業における経営者としての経験、技術開発に関する知見、法務・財務会計等の分野における専門的知見を有することに加え、高い独立性を有する者を社外より招聘することとしています。
監査等委員である取締役候補者の指名にあたっては、会社経営、財務会計、法務等の分野における経験、知見を有することを基準として、社内外より候補者を選定することとしております。なお、監査等委員である社外取締役については、上記のほか、高い独立性を有するものを社外より招聘することとしております。
なお、社外取締役の選任にあたっては、取締役会全体としての知識・経験・専門領域等のバランスに配慮し候補者を決定しています。
当社の取締役会は、独立社外取締役が過半数を占めていることから、より中立的な立場から役員役候補者が選定されるしくみとなっています。また、経営陣幹部の選任・解任と役員候補者の指名にあたっては、独立社外取締役が過半を占め、かつ、委員長が独立社外取締役である指名・報酬委員会での審議・答申を踏まえて決定することとしております。
取締役の選任理由
地位 | 氏名 | 担当および重要な兼職の状況 | 選任理由 |
---|---|---|---|
代表取締役社長 | 新家 由久 | 社長執行役員 | 当社の新規事業領域への進出における商品開発に関し中心的な役割を担っており、技術への深い知見および事業運営に関し豊富な経験を有していることから、代表取締役として選任しております。 |
代表取締役 | 佐竹 俊哉 | 専務執行役員 | 金融機関における投融資に関する業務および事業会社の経営者として豊富な経験や高い見識を有しており、また、当社のコーポレートガバナンスおよび企業価値向上に貢献していることから、代表取締役として選任しております。 |
社外取締役 | 横倉 隆 | ㈱菊池製作所 社外取締役 | グローバル企業において代表取締役社長を務め、企業経営に関する高い見識を有しており、客観的・専門的な視点から当社の経営へ有用な助言をいただくことで、当社の技術開発および事業展開の強化に寄与いただくことを期待し、社外取締役として招聘しております。 |
社外取締役 | 田口 聡 | ENEOS㈱ 参与 | グローバル企業において要職を歴任され、企業経営に関する高い見識を有しており、客観的・専門的な視点から当社の経営へ有用な助言をいただくことで、当社のリスクマネジメントおよび業務執行の監督強化に寄与いただくことを期待し、社外取締役として招聘しております。 |
社外取締役 監査等委員長 |
佐藤 りか | 弁護士(佐藤&パートナーズ法律事務所 代表) 日本シイエムケイ㈱ 社外取締役 |
弁護士として企業法務に関し高い見識を有しており、また、当社の社外監査役としての職務を通じて監査の質向上に貢献した実績があることから、客観的・専門的な視点からの監査・監督機能強化への貢献かつコンプライアンス、コーポレートガバナンス充実のための有用な助言をいただくことを期待し、監査等委員である社外取締役として招聘しております。 |
取締役 常勤監査等委員 |
桑山 昌宏 | 当社の法務部および内部監査部の統括部長を歴任し、法務および監査実務に関する豊富な経験および知見を有しており、また、常勤監査役としての職務を適切に遂行していることから、常勤監査等委員として選任しております。 | |
社外取締役 監査等委員 |
加賀谷 哲之 | 一橋大学大学院教授 | 大学教授として財務会計および企業価値評価、リスク分析等に関し高い見識を有しており、客観的・専門的な視点からの監査・監督機能強化への貢献かつESG経営推進における有用な助言をいただくことを期待し、監査等委員である社外取締役として招聘しております。 |
社外取締役の独立性判断基準
当社は、当社の社外取締役及び社外取締役候補者が、次の各項目の要件を全て満たすと判断される場合に、当該社外取締役または当該社外取締役候補者が当社からの独立性を有しているものと判断いたします。
- 1.現在又はその就任の前10年間において当社および当社の子会社(以下「デクセリアルズグループ」という。)の取締役(社外取締役は除く。以下同じ。)、監査役(社外監査役は除く。以下同じ。)、執行役員又は使用人(以下「取締役等」という。)となったことがないこと。
- 2.デクセリアルズグループの取締役等の二親等以内の親族でないこと。
- 3.当社の主要株主(法人等の団体の場合は、当該団体に所属する者)でないこと。(注1)
- 4.当社が主要株主である団体に所属する者でないこと。(注1)
- 5.デクセリアルズグループの主要な取引先(法人等の場合は、当該団体に所属する者)でないこと。(注2)
- 6.デクセリアルズグループの主要な借入先その他の大口債権者(法人等の団体の場合は、当該団体に所属する者)でないこと。(注3)
- 7.デクセリアルズグループから当事業年度において1,000万円以上の寄付を受けた者(当該寄付受領者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者および当該団体に直近過去5年間所属していた者をいう。)でないこと。
- 8.デクセリアルズグループに対し、法律、財務、税務等に関する専門的なサービスもしくはコンサルティング業務等を提供することの対価として、当事業年度において1,000万円以上の報酬を得ている者(法人等の団体の場合は、当該団体に所属する者)でないこと。
- 9.本人が取締役等として所属する企業とデクセリアルズグループとの間で、「社外役員の相互就任関係」にないこと。(注4)
- (注1) 「主要株主」とは、総議決権の10%以上の議決権を直接又は間接的に保有している者をいう。
- (注2) 「主要な取引先」とは、デクセリアルズグループとの取引において、支払額又は受取額が、デクセリアルズグループ又は取引先の連結売上高の2%以上を占めている企業をいう。
- (注3) 「主要な借入先」とは、連結総資産の2%以上に相当する金額の借入先をいう。
- (注4) 「社外役員の相互就任関係」とは、デクセリアルズグループの取締役等が社外役員として現任している会社から社外役員を迎え入れることをいう。
取締役会の実効性評価
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上をはかるべく、取締役会自身による取締役会全体の実効性の評価を実施しております。
(分析・評価の手法)
2020年度における実効性評価は、評価の客観性や透明性を確保することを目的として、インタビューの実施および結果分析を第三者に委託することにより実施しました。具体的には、取締役会事務局が作成したアンケート項目をもとに各取締役・監査役が2020年度の取締役会の実効性を振り返りつつ、第三者から全ての取締役・監査役に対しインタビューを実施し、内容の分析を行いました。
また、上記の分析結果を踏まえて取締役会で議論し、次年度に取り組むべき重点課題として、アクションプランを策定いたしました。
(評価結果の概要)
(1)総括
第三者による評価結果として、当社の取締役会の実効性は高い水準にあるものの、全体としての問題意識が特に強い項目として、以下の点について指摘がありました。
- 取締役会自体及び構成メンバー個々の機能・役割の明確化
- 取締役会の議題のあり方と審議スケジュールに係るコンセンサスの形成(取締役会自体の機能・役割の明確化)
- 社外取締役に期待される機能・役割の明確化
- 機能・役割の発揮に必要な情報提供・コミュニケーションのあり方
- 構成メンバー個々の評価・サクセッション
(2)2021年度におけるアクションプランについて
上記(1)の内容を踏まえて、当社は、2021年度におけるアクションプランについて、以下のとおり決定しました。
- 社外取締役に期待される機能・役割・評価・サクセッションについて、経営陣と社外取締役との間でのコンセンサスの形成
- 取締役会の議題のあり方と審議スケジュールに係るコンセンサスの形成
- 機能・役割の発揮に必要な情報提供・コミュニケーションのあり方
役員報酬
(基本的な考え方)
当社の取締役の報酬は、外部調査機関による役員報酬調査データをもとに、当社と規模や業種・業態の類似する企業を対象として、報酬制度や報酬水準について当社現行制度・水準と比較検証をおこない決定しています。
取締役(社外取締役を除く)の報酬は、以下、役員報酬決定における基本的な考え方を踏まえ、役位や年度業績の達成度などにより算定した額をもとに、指名・報酬委員会への諮問を経て、取締役会の決議により決定しています。
監査等委員の報酬は、監査等委員である取締役の協議により決定します。
役員報酬決定における基本的な考え方
- 役員の報酬は、その役割と責任及び業績に応じて報いるものとする
- 中長期経営戦略を反映する設計であると同時に中長期的な成長を強く動機づけるものとする
- 優秀な人材を確保・維持するに相応しい報酬水準とする
- 報酬の決定プロセスは、客観的で透明性の高いものとする
(基本報酬)
内規に基づき役位に応じて金額を決定し(職責に応じた傾斜配分)、月額固定報酬として支給しています。なお、社外取締役および監査等委員である取締役には基本報酬のみ支給しています。
(業績連動報酬)
業績連動報酬は、年度の業績に応じて支給される「業績給」と、株主のみなさまとの利益意識の共有と中長期での目標達成への動機づけを目的とした「株式報酬(BBT信託)」で構成されており、当社の業務執行取締役に対し、単年度だけでなく中長期的な視点で業績や株価を意識した経営を動機づける設計となっています。
「業績給」は、「戦略実行し稼ぐ力」である連結売上高と「実質的利益を稼ぐ力」のEBITDAを評価指標として設定することの他、指名・報酬委員会により個人評価を決定し、反映します。なお、上記経営指標については、連結売上高50%:EBITDA50%の割合により業績給を算定・決定し、定時株主総会終了後の翌月から12等分して毎月支給しています。
「株式報酬」は、中長期的に継続した業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的として、基本報酬とは別枠で設定しています。具体的には、連続する3事業年度ごとに取締役への給付に必要な株式を取得するための資金を信託へ拠出し、以後、事業年度ごとに、給付対象となる取締役に対し、株主の皆様との利益意識の共有を図り、取締役が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的として定めた評価指標であるTSR(株主総利回り)、ROEに応じてポイントを付与します。なお、付与されたポイントは、1ポイント当たり当社普通株式1株として換算し、付与対象となる取締役には、3年毎にポイントに見合う当社株式および当社株式を時価で換算した金銭が給付します。
(決定方法)
取締役および執行役員の報酬の構成、業績連動型報酬の制度設計の妥当性の評価や目標値の設定、実績評価等については、指名・報酬委員会への諮問・審議を経て取締役会で決定されるプロセスとなっています。
個別の取締役の報酬は、指名・報酬委員会における議論を経て、あらかじめ株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、取締役会の決議により決定しています。
個別の監査等委員である取締役の報酬は、あらかじめ株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により決定しています。
(役員の報酬等に関する株主総会の決議)
取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬限度額は、2021年6月18日付の株主総会決議により、年額300百万円以内(うち社外取締役分 40百万円)と決議されております(以下「取締役金銭報酬枠」といいます。)。また、同株主総会において、取締役金銭報酬枠とは別枠にて、取締役(監査等委員であるものおよび社外取締役を除きます。)に対する業績連動型株式報酬の額の算定方法および内容について、取締役(監査等委員であるものおよび社外取締役を除きます。)に対し、役位および業績達成度等に応じて付与される1事業年度当たりのポイント数の合計につき13.5万ポイントを上限とし、原則として3年毎に1ポイント当たり当社株式1株に相当する当社株式および当社株式を時価で換算した金銭を給付することとする旨、ならびに取締役(監査等委員であるもの及び社外取締役を除きます。)が受ける報酬等の額は、ポイント付与時において、各取締役(監査等委員であるもの及び社外取締役を除きます。)に付与されるポイント数の合計に当該報酬制度に関して設定される信託の有する当社株式の1株当たりの帳簿価額を乗じた金額を基礎とする旨等が決議されています(以下「取締役株式報酬枠」といいます。)。
取締役金銭報酬枠に基づく報酬等の支給対象となる取締役は4名、取締役株式報酬枠に基づく報酬等の支給対象となる取締役は2名です。
監査等委員の報酬限度額は、同株主総会において、年額50百万円以内と決議されています(以下「監査等委委員報酬枠」といいます。)。
監査等委員報酬枠に基づく報酬等の支給対象となる監査等委員は3名です。
役位ごとの種類別報酬割合
役位 | 役員報酬の構成比 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|
基本報酬 | 業績連動報酬 | |||
業績給 | 株式報酬 | |||
代表取締役 | 50% | 30% | 20% | 100% |
社外取締役 | 100% | - | - | |
監査等委員である取締役 | 100% | - | - |
- (注) 各報酬の構成比は、業績目標として定めた各評価指標を達成した場合の割合となります。
2020年度の役員報酬額
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる 役員の員数 (人) |
||
---|---|---|---|---|---|
基本報酬 | 業績連動報酬 | ||||
業績給 | 株式報酬 | ||||
取締役 | 132 | 85 | 25 | 21 | 7 |
監査役 | 25 | 25 | - | - | 3 |
合計 | 157 | 110 | 25 | 21 | 10 |