マテリアリティ 人財
マテリアリティ 人財
事業戦略の推進力となる人の戦略
お客さまとともに社会課題を解決し、新たな価値を創造する。その原動力は、当社のマテリアリティである「技術」と「人財」にほかなりません。高い専門性と分野横断の知見を掛け合わせ、グローバルで革新の創出を可能にする組織力。そして、当社のパーパスや企業文化、成長意欲に共感する多様な人材との連携と、その土壌となるチャレンジングな企業文化の醸成が不可欠です。
当社の成長戦略を実現するために、グローバルでの連携強化と、高度な技術人材の育成・獲得がこれまで以上に重要です。中期経営計画2028「進化の実現」の達成に向けて、新たな分野への挑戦と既存領域での成長を両立しながら、中長期の視点で必要な人材をバックキャストで見極め、国内外で計画的に育成・獲得を進めています。同時に、急速に変化する社会や市場環境に対し、スピード感と柔軟性をもって対応できる体制を構築しています。
成長戦略に基づく事業ポートフォリオの拡大に向けて、人の戦略をどのようにひもづけ、進化させていくのか。現中計の期間で、持続的成長の基盤を確かなものにします。
持続的成長を支える「人の価値」を最大化するために
当社グループは、経営理念・企業ビジョン・パーパスを大切にしながら、社会課題解決を通じた持続的な成長を目指しています。その実現のために、人的資本を最大活用するための「基本原則」、「人財ポリシー」と、社員に対する期待行動「Dexerials Way」を、グローバルで共通に定め、人事制度に反映しています。
これらは、経営理念である「Integrity」、企業ビジョンである「Value Matters」において大切にしている企業文化や価値観、いわばデクセリアルズのDNAを、マテリアリティである「人財」に対するグローバルの共通言語として昇華させたものです。
持続的成長とグローバルで選ばれる会社を目指して
当社は、成長戦略の実現に向けて事業ポートフォリオの拡大を進めています。それに向け、当社のマテリアリティである「人財」の価値を最大化する ための人の戦略を策定し、推進しています。現中計では、大きな事業成長に向けて「人」の基盤をグローバルでアップデートする、「人の戦略」と事業戦略を両輪で進めています。
戦略1 人財ポートフォリオの最適化
事業戦略に連動した人財ポートフォリオ
変化が激しく先行き不透明な事業環境下において、当社が社会課題を先回りしてビジネスソリューションを提案し続けるためには、経営戦略に沿った事業ポートフォリオの拡大と、それを実現する「技術」と「人財」の強化が不可欠です。そのために、経営・事業戦略に連動する事業ポートフォリオと将来の目指す姿からバックキャストした人財ポートフォリオのグローバルでの整備に取り組んでいます。
2030年のあるべき事業ポートフォリオを実現するために必要となる「技術とスキル」は何か、どのような「人財」が求められるのか、現状のAs Isと将来のTo Beのギャップを分析してグローバルでの人材獲得と育成に取り組んでいます。
「技術」と「人財」の強化
新規事業・成長領域のフォトニクス・半導体分野を始めとした技術開発と、新たなソリューション提案に向けたエンジニアリングマーケティング強化のため、国内外を問わず社外から専門技術人材の獲得を進めています。必要な技術を見極め、強化するべき領域にフォーカスした人材を獲得・育成しています。現在、グローバルでの技術人材比率は約40%ですが、中計最終年度の2028年度には50%を目指しています。
リソースのシフトと強化
当社が強みを持つコンシューマーIT領域から、今後の成長が期待される自動車およびフォトニクス領域、新たな技術開発分野へと、人材獲得・育成の重点をシフトさせています。特にフォトニクスや半導体技術は、次世代のソリューション創出に不可欠であり、国内外から専門性の高い技術人材の獲得を進めています。
HRBP機能による強化スキル・技術の見える化
当社ではグローバル視点で人財ポートフォリオの強化と最適化を推進するため、2023年よりHRBP(Human Resources Business Partner)機能を担う組織を設置しました。「技術・開発」、「生産・製造」、「営業・マーケティング」、「企画管理」の4つの機能について、スキルと技術の現状と将来のあるべき姿を見える化し、ギャップへの対応を進めています。
当社独自の人事支援体制として、各本部· 事業部組織にHRBPを担う人材を配置するのではなく、各機能において国内外を問わず組織横断で技術やスキルをベースに人事施策を企画立案しています。成長戦略に基づく強化スキル・技術の特定と評価・見える化を推進し、人材の強化と質的転換を目指しています。
戦略2 グローバルでの制度設計
ジョブ型人事制度
当社グループでは、人的資本戦略を推進する基盤として、2024年度よりグローバルの標準であるジョブ型人事制度を全面的に導入しました。
海外売上比率が約67%を占める当社にとって、国内外の垣根を越えた連携と仕組みの最適化は不可欠です。そのため、会社と社員が相互に選び選ばれ、ともに成長するパートナーシップの構築を目指しています。
多様性や個性を尊重しながら、競争力ある人事制度を整備することで、組織文化や働く環境の進化を促し、持続的な成長と企業価値の向上につなげます。
ジョブ型人事制度で目指すもの
戦略に沿った職務設計と市場価値を反映した報酬
中期経営計画2028「進化の実現」の達成に向け、当社ではビジネスモデルや戦略を起点に、経営層をはじめとする上位層から順に必要となる職務を定義しています。定義された各職務は成果責任を明確化し、それに基づいてグローバルで統一したグレードを設定しています。職務別の報酬は、行政機関の賃金統計や外部調査機関のデータベースを活用し、当社と規模・業種が類似する企業をベンチマークし、そのうえで、国・地域・グレードごとに報酬水準を定めています。さらに、当社の現行制度や水準と比較検証し、外部公平性を確保するとともに、採用競争力の強化につなげています。
これらの取り組みを通じて、人財ポートフォリオの最適化を図り、持続的な成長を支える基盤を構築します。
組織目標の達成と自己成長
当社グループの評価制度は、「Dexerials Way」を軸に社員の能力開発を促進し、人的資本の最大活用を実現する仕組みと位置づけています。
具体的には、組織目標の達成と個人の成長を両立させるため、期初に業績と行動の2軸で目標を設定し、期末において業績の達成度および行動の発揮度をレビュー・評価します。
このプロセスを通じて、社員一人ひとりが自身の課題や成長機会を明確化し、自己成長に向けた計画と挑戦を積み重ねていくとともに、組織全体の持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
職務を基軸にしたキャリア形成
社員一人ひとりが自律的に成長し、将来のキャリアを描くための基盤として、一般社員向けに定義したすべての職務とキャリアマップを社内に順次公開しています。さらに、多様なキャリアの可能性を広げるため、幅広い部署・ポジションにおいて社内公募を実施し、社員が自らの意思で応募できる仕組みを整えています。これにより、日頃思い描いているキャリアの実現やスキルアップを後押ししています。
今後は、グループ全体で導入したグローバルタレントマネジメントシステムの整備とデータの利活用を進め、社員のさらなる成長と挑戦を支える施策を積極的に展開していきます。
人財育成方針
私たちは、社員に「自ら学び・考え・行動し・成長し続ける」自律的な働き方を求め、会社はそれを実現するための支援をし環境を整えることで、社員と会社がともに成長していくという考え方を明確にしています。
持続的成長に向けた人材育成施策
当社は、持続的な成長を実現するために、人事制度と人材育成施策を連動させ、社員一人ひとりの可能性を引き出すとともに、人的資本を最大限に生かすことにより、クリエイティビティの高い組織文化の醸成に注力しています。
社員の主体的な学びを奨励し、その挑戦を支援する体制や、多様な研修プログラムを整備することで、一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築しています。また、将来の事業を担う次世代リーダーの育成にも注力し、経営視点を養う教育や実践的な成長機会を通じて、持続的な企業価値向上に貢献できる人材の育成を推進しています。
今後もグローバルで共通の教育研修制度を整備し、組織文化と働く環境を進化させることで、持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指します。
「社員の自律的な学び・成長支援」に向けたプログラム
2024年度から、ビジネススクールが提供する公開講座を通じた「他流試合」型の学びを展開し、外部環境の変化や多様な価値観に触れることで、社員の視野拡張と実践的な成長を促進しています。さらに、自己啓発支援としてオンライン動画学習サービスを希望者全員に提供し、ビジネスの基礎から実践まで体系的に学べる環境を整備しました。これにより、社員一人ひとりが自律的に学び続ける仕組みを強化しています。
社員VOICE オンライン学習で通勤時間を“成長の時間”へ
オプティカルソリューション事業部 品質保証部
花渕 太郎
自分の動き方やチームへの関わり方にもっと工夫が必要だと感じ、さらに英語での打ち合わせもうまくいかず悩んでいました。そんな時に、オンライン動画学習サービスで英語だけでなくマネジメントや学び方まで幅広い講座があることを知り、気軽な気持ちで受講を始めました。
通勤中に運転しながらラジオのように聞けるので、無理なく続けられたことが継続できた大きなポイントです。学んだ内容は少人数の報告会など実務でも試すことができ、小さな成功体験が積み重なり、自信につながっています。
社員VOICE 自分のペースに合わせて「学び」を楽しめるように
DX企画推進部
渡部 裕香
業務のなかで新しい分野の提案に関わることが増え、「もっと上手にヒアリングしたい」、「良い結果を生む考え方を知りたい」と感じていました。研修の案内を見たときに「これは良いきっかけかも」と思い、受講を決めました。
子どもがいるとまとまった時間が取れず、思うように進まないこともありましたが、平日は支度や家事をしながら音声を聞き、週末に座学を進めるという自分に合ったスタイルが自然とできています。
実務に役立つ具体的な考え方や視点に触れられ、仕事での判断や伝え方にも良い変化を感じています。無理なく続けることで、少しずつ視野が広がっていく実感が持てるようになりました。
経営基盤強化に向けた選抜型の次世代経営人材育成プログラム
経営基盤の一層の強化に向け、グローバルを含むグループ全体のなかから、選抜されたメンバーを対象に、次世代経営人材育成プログラムを実施しています。先行して開始した管理職層向けプログラム「D-BLP※1」では、経営者視点で課題をとらえ、解決に必要な思考力・判断力・独創性を磨いています。参加者は実現可能性のある事業提案を行い、相談役として執行役員のサポートを受けながら、経営に直結する実践的な学びの場として、次世代経営リーダー候補としての視座を高めています。
さらに2024年度には、変革をけん引するリーダーの早期育成と計画的な輩出を目的に、若手社員を対象とした新プログラム「FIP※2」を開始しました。グローバルを含むグループ各社から多様なメンバーが参加し、「新たな価値創出に向けた戦略立案」をテーマに、半年間にわたり議論と協働を重ねます。プログラムは、社内外の環境変化を踏まえて当社独自に設計しており、経営層やD-BLP 修了者との意見交換、社外で活躍するリーダーとの対話、ビジネス課題に基づくフィールドワークなど、日常業務では得がたい実践的な学びの場を提供します。参加者は、自身のリーダーシップを見つめ直すとともに、困難に立ち向かう力を養い、プログラム終了後も各部署で新たなチャレンジに取り組んでいます。今後もこれらのプログラムを継続・発展させ、次世代を担うリーダー層の育成に注力していきます。
- ※1Dexerials Business Leadership Program
- ※2Dexerials Future Innovators Leadership Development Program
社員VOICE FIPへの参加で視座が上がり業務に取り組む姿勢の変化と成長を実感
グローバルセールス&マーケティング本部 戦略営業部
Lori Lu (ロリ・ル)
これまでは足元に目が行きがちで、求められる業務を着実に進めることに重心を置いていました。しかし、FIPに参加し、会社の目指す方向や業務の目的を理解して動く大切さを学んだことで、自身の業務に取り組む姿勢そのものが大きく変わりました。さらに部門やバックグラウンドの異なる参加者との議論を通じて、多様な視点を受け入れたうえで、違いを恐れず自分の意見を伝えられるようになりました。接点のなかった仲間と横のつながりができたことも収穫で、今後の業務やコミュニケーションに生かしていきます。
戦略3 企業文化のアップデート
会社と個人のパーパスの重なりを最大化
当社グループでは、2024年に「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」をパーパスとして定めました。ジョブ型人事制度では、当社のビジネスモデルや事業戦略にひもづく形で必要な職務を定義し、社員には職務とキャリアパスを開示することで、自律的なキャリア形成を促しています。会社と社員が相互に選び選ばれる関係では、社員が会社のパーパスに共感し、個人のパーパスとの重なりを最大化することが重要です。事業戦略の実現に向けて会社と社員のベクトルを合わせ、イノベーション創出につなげます。また、長期的な結びつきの強化により、変化に強く持続的な企業体質を目指します。
1on1によるキャリア支援と対話の推進
当社は、中長期的なキャリア形成と成長支援を目的に、積極的に1on1の実施を推進しています。
ジョブ型人事制度でも期中での継続的な対話は、個人と組織の方向性を一致させるために重要であり、上司と部下の対話を通じて、個人のパーパスの実現や主体的な成長を支援しています。こうした取り組みにより、対話を大切にする風土の醸成を進めています。
2024年度までに、経営層から部長・課長層を対象として1on1 について学ぶ研修を実施し、現在は係長層まで対象を拡大しました。今後も継続的な実践を通じて、キャリア自律と組織の持続的成長を両立する企業文化の強化を進めていきます。
経営トップによるダイレクトコミュニケーション
パーパスの浸透、企業と個人のパーパスの重なりを拡大するために、経営トップによるダイレクトコミュニケーションを定期的に実施しています。新たなキャリアの節目となる部長層・課長層への昇進を迎えた管理職を対象に、経営トップと対話を行い、経営トップが描くビジョンに直接触れるとともに、自身の提案や課題をぶつけることで、経営トップと第一線管理職のチームビルディングに取り組んでいます。
中期経営計画とエンゲージメントサーベイの連動
当社グループでは、エンゲージメントサーベイを2年ごとに実施し、中計と連動したモニタリングを行っています。
2024年度に実施した調査では、当社らしいエンゲージメントの実現を目指して、「経営理念・企業ビジョンの実践度」、「パーパスへの共感度」を測る設問を新たに追加しました。企業文化を支えるこれらの項目では良好な状態が確認できました。
2022年度の実施結果からは、部長・課長層の全体的なエンゲージメントと、上司のマネジメントを含む目標・業績管理に関する項目が改善しました。これらは、ジョブ型人事制度への制度変更を通じて、事業戦略と職務・業績目標の連鎖が明確になったことによるものととらえています。
一方で、人材の獲得・配置・活用に関する項目は前回からの継続課題に挙げられ、人財ポートフォリオの変革に向けたリソースシフトと社員のキャリア実現に取り組むことで改善を図ります。これらは「人の戦略」と連動するものです。基盤となる人事制度の改定後、制度を活用する段階を通じて、課題改善の取り組みと社員エンゲージメント向上に向けたPDCA サイクルを推進していきます。