技術紹介

ノイズ抑制熱伝導シート 炭素繊維タイプ

熱伝導シートとは何か?

熱伝導シートとは何か?

熱伝導シートとは何か?

熱伝導シートは、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる熱対策材料のひとつで、発熱源から放熱部材へ熱を伝える材料です。電子デバイス内に搭載されるICチップ(発熱源)とヒートシンク(放熱部品)の間に挟んで使用することで、放熱効果を高め、デバイスを守ります。 電子機器の小型化・高性能に伴い、ICチップなどからの発熱量も増加したため、その対策品として当社は2004年に熱伝導シートの生産を開始しました。高い熱伝導率と柔軟性を兼ね備えたシリコーンタイプやアクリルタイプに加え、より発熱量の多い用途向けに炭素繊維タイプの熱伝導シートを開発し、現在、高速かつ大容量の情報処理が必要となる電子デバイスやサーバー、5G通信基地局などに幅広く採用されています。

熱伝導シートに求められる性能

熱伝導シートを設計する際、熱伝導性能と並んで重要な特性がシートの柔軟性です。熱伝導シートは被着体に密着する際、基板に対するストレスを低減しつつ被着体の寸法公差を吸収する役割も担うため、シートに高い柔軟性が求められます。

当社の熱伝導シートの種類と特徴

シリコーンタイプは、高熱伝導・柔軟性・絶縁性を兼ね備えた熱伝導シートです。耐熱性が高いシリコーンにアルミナをはじめとするセラミックス系の熱伝導フィラーを高密度充填して作ります。

アクリルタイプは、基板などの接点障害の原因となる低分子シロキサンの発生がなく、密閉環境下で効果を発揮します。

炭素繊維タイプは、熱伝導フィラーとして炭素繊維を用いて、当社独自の配向技術により高い熱伝導率と優れた柔軟性を実現しています。 LSIなど発熱密度の高いデバイスなどに使用されています。

シリコーンタイプは、電気を通しにくい熱伝導シートです。

ノイズ抑制機能の必要性

昨今、ICなどの動作周波数がますます高まり、デバイスの高集積化と小型化が進むにつれ、発熱に対してだけではなく、高周波ノイズへの対策が大きな課題です。そこで、当社は熱伝導シートのなかでも熱伝導率が極めて高い炭素繊維タイプで、ノイズ抑制に有効な熱伝導シートである「EX10000K3シリーズ」を開発するに至りました。

EMI対策の概要

ノイズ吸収効果

EMI対策の概要

ノイズ吸収効果は磁気損失・誘電損失・導体損失によって電磁波を減衰させる効果です。炭素繊維と磁性材料を使用することで各損失を大きくすることにより、シートを通過するノイズを減らすことができます。また、ICを囲うシールドカンと放熱部品の間に、シートを介して密閉空間を作る構造にすることでシールド性能も発揮します。当製品は材質の形状、粒径の組合せや比率、また混合条件の最適化など試行錯誤を繰り返して蓄積した知見と技術を駆使して製品開発をしたものです。

ノイズ抑制を付加した炭素繊維熱伝導シートを用いたEMI対策構造図