技術紹介

粒子整列型異方性導電膜(ACF)アレイフィックス®

長年培った材料開発力と技術ノウハウを注ぎ込み、最小配線間隔10μmで確実な導通と高い接続信頼性を実現した接合材料

異方性導電膜(ACF)とは?

異方性導電膜(以下ACF:Anisotropic Conductive Film)は、バインダーである熱硬化型樹脂の中に独自開発の絶縁コート付き導電粒子を分散したフィルム状の接合材料です。
「接着と導通を一括で実現するフィルム」として現在ではスタンダードとなりましたが、1970年代に当時の主な実装材料だったゼブラコネクターやヒートシールに代わる全く新しい接合材料として開発し 、1977年に当社が業界にさきがけて製品化しました。当初は、接着剤にカーボン繊維を練り込んだものでしたが、導電粒子や絶縁コート付与などの変遷を経て、現在は使用用途やファインピッチ化の要求に応え、様々なラインナップを揃えています。
ディスプレイ向けガラス基板のような高面密度に端子が配列された基板とICチップなどの部品の接続に広く使われ、最近でははんだやコネクターの代替としてディスプレイ以外の用途にも採用されています。

ACF接続のしくみ

熱硬化型樹脂のバインダー中に導電粒子を分散したACFは、対向電極(バンプ)間の導通と隣接回路間の絶縁を両立できるため、多数の基盤回路電極を一括接続することが可能です。ガラス基板とICチップを接続する際、加熱、加圧することで、導体のバンプ面で粒子が捕捉され導通します。その一方で、捕捉されなかった粒子は端子間に移動するものの導通せず絶縁を保ち、加えて、熱硬化バインダーによる信頼性の高い接着(封止)が可能です。

異方性導電膜の構造としくみ

ACFの種類と特徴

何をどこに実装するかによって、FOB、FOG、COGなど用途別に製品ライナップを構成しています。
【代表的なACFの用途】

FOB(Film on Board)

FOB

基板(Board)にフレキシブルプリント配線板(FPC)をつなぐ実装。
液晶テレビやノートPC、その他多くのディスプレイモニターの実装に用いられる

FOG (Film on Glass)

FOG

FPCをガラス基板に接続する実装。
各種ディスプレイ、PC、スマートフォンなど様々なサイズのディスプレイに使用される。

COG (Chip on Glass)

COG

ガラス基板に直接ICチップを貼り付ける実装。
スマートフォンやタブレットPCなど薄型の端末で多く採用される。COG実装は接着面積が薄く電極間のピッチが狭いため、より高い電気接続信頼性が求められる。

FOP(Film on Plastics)

FOP

タッチパネルのプラスチック基板とFPCの配線実装。
低温短時間圧着が可能で、熱影響を受けやすいフィルム材に適す。

その他 COB(Chip on Board)、COF(Chip on Film)、FOF(Film on Film)などがあります。

さらなるファインピッチに対応する粒子整列型ACF アレイフィックス®

 

ITモバイル製品の小型化やディスプレイの高精細化により、端子間隔のファインピッチ化が進み、ACFはより狭小な範囲で粒子が捕捉され導通を実現することが求められてきました。そのため当社は、これまで粒子数の増加や粒子径のサイズダウンにより対応してきました。しかし、ファインピッチ化の要求は今後もさらに進む傾向にあり、狭い接続エリアでショートすることなく一定数の粒子を端子上に捕捉し導通させることがACFの技術的な課題となっています。 そこで、ショート発生リスクを抑えながら、安定した導通性能を実現する「粒子整列型ACF アレイフィックス」を開発し2014年に製品化しました。

粒子整列技術

通常のACFは、樹脂に粒子を均等に分散しており、粒子量を増やせば端子上の捕捉率はあがりますが、一方で粒子が端子間に目詰まりしショートするリスクが高まります。すなわち導通に十分な量でありながら、かつ、適正な量に留めなければなりません。また接合時の加熱、圧着で軟化した樹脂の流動もまた粒子移動の誘因となっていました。 必要最少の粒子数で狭小の接続エリアに確実に捕捉させるには、導電粒子を一定間隔で並べることと、樹脂の流動性を最小限に抑制することが必要です。 当社は、基盤技術である材料技術とプロセス技術を駆使し、整列させた粒子が動かないように流動を抑制する新しい樹脂開発をおこない、導電粒子を整列させたころ、同じ粒子面密度でも捕捉数が安定し、確実な導通が可能となりました。

異方性導電膜(ACF):導電粒子の分散のようす

ACF 接続部の外観

  • 粒子径:Φ3.2μm 密度:12,000pcs/mm2
  • FPC端子寸法:ピッチ35μm (Line/Space = 17.5μm/17.5μm)
  • 圧着条件 :温度 170℃、時間5sec、圧力 4.5MPa
  • ガラス基板 :厚み 0.5mm


※アレイフィックス(ArrayFix)はデクセリアルズ株式会社の登録商標です。