定格125Vの高電圧、150Aの大電流に対応したねじ止めタイプのセルフコントロールプロテクター「SFM-50150」を製品化
-カーボンニュートラルやIoT化を支えるリチウムイオンバッテリーの安全性向上に貢献-
製品
2023.04.17
スマートフォン、自動車などに最先端の技術・材料・デバイスを提供するデクセリアルズ株式会社(本社:栃木県下野市、代表取締役社長:新家由久、以下、当社)は、最大定格電圧125V、定格電流150Aに対応したねじ止めタイプのセルフコントロールプロテクター「SFM-50150」を開発、製品化したことをお知らせします。
セルフコントロールプロテクター(以下、SCP)は、リチウムイオンバッテリーの充放電を制御している1次保護が正しく機能せずに過充電・過電流が発生した際、ヒューズエレメントを溶断させて回路を遮断する2次保護用のヒューズです。1994年の上市以来、ノートPCやスマートフォン、電動工具などのバッテリーに広く採用されています。
近年、カーボンニュートラルの観点から電動バイクの普及や、社会のIoT化に向けて電動の無人搬送車の使用が広がるなど、電動車両の活用が増加しています。また、電動車両に電力を供給するため、蓄電池をはじめとするエネルギー貯蔵システムの普及も進み、リチウムイオンバッテリーの活躍の場が広がっています。これらの機器はコンシューマーIT機器に比べて高電圧かつ大電流を扱うため、その保護のためのヒューズが求められており、当社では高電圧、大電流対応のSCPの開発を進めてきました。
このたび製品化した「SFM-50150」は、SCPのラインアップとして最大となる、最大定格電圧125Vおよび定格電流150Aに対応した製品です。
一般的に、高電圧の製品ほどリチウムイオンバッテリーが過電流に陥った際に起こるアーク放電の影響が大きく、ヒューズエレメントを用いた回路遮断も難しくなります。「SFM-50150」では製品の構造を最適化することにより、150Aの定格電流を実現するとともに、高電圧製品の回路遮断時に課題となるアーク放電を抑制し、高電圧、大電流の遮断を可能にしました。
また、当社のねじ止めタイプSCPとして初めて完全鉛フリーを実現し、環境負荷の低減にも貢献します。
当社は今後も、SCPの高電圧、大電流対応や小型化などの開発をすすめ、幅広いアプリケーションにおけるリチウムイオンバッテリーの安全性向上を実現することで、カーボンニュートラルの推進や社会のデジタル化、IoT化を支え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
セルフコントロールプロテクター(SCP)「SFM-50150」の詳細
■製品名
- セルフコントロールプロテクター(SCP)「SFM-50150」
■特長
- 材料と構造の最適化により、当社ラインアップとして最高の最大定格電圧125Vへの対応を実現
ケース部分に使用する材料や製品全体の構造を最適化したことで、リチウムイオンバッテリーが過電流に陥った際のアーク放電の抑制に成功。これまでは実現困難であった最大定格電圧125V(従来品※1比で56%増)を実現。
- ヒューズエレメントを最適化し、定格電流150Aを実現
従来品よりもヒューズエレメントに厚みを持たせてヒューズ抵抗を下げることで、当社ラインアップ史上最大となる定格電流150Aを実現。大電流を必要とする電動バイクや、蓄電池などのエネルギー貯蔵システムに最適。
- 製品全体で鉛フリーを達成
当社独自に開発した鉛フリー※2のヒューズエレメントを用いるとともに、基板部分の材料も最適化したことで、ねじ止め式SCPでは初めて完全鉛フリーを実現、環境負荷の低減に貢献。
■仕様
型番 | SFM-50150 |
---|---|
電池パック直列セル数 | 12 ~ 14 セル |
定格電流 (A) | 150 |
最大定格電圧 (VDC)※3 | 125 |
最大遮断電流 (A) | 400 |
動作電圧範囲 (V) | 37.7 ~ 62.0 |
ヒーター抵抗 (Ω) | 22.0 ~ 33.0 |
ヒューズ抵抗 (mΩ) | 0.4 |
寸法 (mm) | 40.0 x 29.4 x 18.0 |
- ※1SFM-120Aシリーズ
- ※2欧州の有害物質の使用制限であるRoHS指令では鉛含有量1,000ppm以下の状態を鉛フリーと定義しています。
- ※3ヒューズ部で遮断できる電圧の最大値です。ヒーター部の動作電圧ではありませんのでご注意ください。