カメラモジュールなどの部品実装に好適な形状加工異方性導電膜(ACF)を製品化
-特殊な端子レイアウトにあわせてACFを加工し、高密度実装や製造工程の効率化を実現-
製品
2021.12.13
スマートフォン、自動車などに最先端の技術・材料・デバイスを提供するデクセリアルズ株式会社(本社:栃木県下野市、代表取締役社長:新家由久、以下 当社)は、特殊な形状にレイアウトされた端子でも効率的な実装を実現する「形状加工異方性導電膜(ACF)」を開発し、製品化したことをお知らせします。
本製品は、端子のレイアウトが直線状ではないカメラモジュールや、各種センサーモジュールなどの回路接続用途に適しており、すでにモバイルIT機器での採用が始まっています。
当社の異方性導電膜(ACF)は、接着と対向回路の導通、隣接回路間の絶縁が一度におこなえるフィルム状の接合材料です。フラットパネルディスプレイへのICチップ実装に広く使われるとともに、近年はカメラモジュールやタッチパネル、センサーモジュールなどの回路接続にも用途を広げています。
■異方性導電膜(ACF)使用イメージ
■カメラモジュール実装イメージ
モバイルIT機器等の高密度な部品実装における課題と形状加工異方性導電膜(ACF)
現在、スマートフォンに代表されるモバイルIT機器は多機能化が進み、カメラの多眼化や測距センサー、顔認証モジュールなどの多くの部品が搭載されるため、部品密度が向上しています。これら多数の部品を基板に実装して回路を接続するにはスペースを有効に活用する必要があり、従来のように端子を直線状に並べるのではなく、四角く配置する、上下二列に配置するなどの工夫が取り入れられています。
さらにこのような端子が直線状でない部品を通常の直線状のACFで実装する際、ACFを大きく貼り付けて全面貼りで実装すると、端子以外の箇所にも熱や圧力がかかり部品にダメージが加わってしまうことがあります。一方で、端子レイアウトにあわせて必要な個所にのみ細いACFを用いると、角度や位置を複数回変えて貼り付ける必要があり、お客さまの製造工程での効率が課題となっていました。
このたび当社が開発した「形状加工異方性導電膜(ACF)」は、これらの課題を解決するべく、実装する形に合わせてACFの形状を加工した製品です。それぞれ独立した個片やロの字など内側が閉じた形状、中央部のACFを無くした二列の形状に加工することで、特殊なレイアウトの端子の効率的な実装が可能となります。
■通常の異方性導電膜(ACF)
■形状加工異方性導電膜(ACF)
本製品は、ディスプレイ向けACFで世界シェアNo.1※1の実績を持つ当社が長年培ってきたACFに関する知見や接着に関する技術を用いて、同じ形状パターンを連続的かつ正確に形成する技術を開発し、製品化を実現しました。また、ACFの加工形状を精密にコントロールすることで最細0.5mm幅まで加工できるため、実装部品の形状の自由度向上や、さらなる高密度実装の実現による機器の多機能化、高機能化に貢献します。
形状加工異方性導電膜(ACF)の詳細
■製品名
- 形状加工異方性導電膜(ACF)
■特長
- 端子のレイアウトや基板の形状にあわせてACFを加工することで、効率的な実装を実現
高密度実装が求められる各種モジュールの特殊な端子レイアウトにあわせて、ACFを加工。多様な形での実装が可能であるため、効率的かつ実装時の部品へのダメージを最小限に抑えながら実装可能。
- 最細で0.5mm幅まで加工可能、微細なレイアウトの端子の回路接続にも対応可能
本製品の最細箇所の幅は0.5mmまで対応可能。現在の通常のACF(直線状のACF)の最細スリット幅と同様の幅であり、微細な箇所の回路接続にも対応可能です。
- ロの字型など、中抜き加工も可能
周囲のACFがない個片やロの字など内側が閉じた中抜き加工をした形状、中央部のACFを排除した二列の形状への加工も可能。お客さまの部品形状や用途に合わせて自在にACFを加工することができるため、実装部品の形状の自由度向上や、さらなる高密度実装の実現による機器の多機能化、高機能化に貢献します。
■仕様
型番 | 本製品 | 当社既存品 (カメラモジュール向け) |
|
---|---|---|---|
形状 | 任意の形状 | 直線状(テープ状) | |
対応被着体 | FPC、PCB、ガラス、セラミック基板 | ||
対応最小スペース [µm]※2 | 100 | ||
対応最小接続面積 [µm2]※3 | 80,000 | ||
厚み [µm] | 25 | ||
導電粒子 | 種類 | 金/ニッケルめっき樹脂粒子 | |
粒子径 [µmФ] | 20 | ||
本圧着条件 | 温度 [℃] | 130~ | |
時間 [sec] | 6~ | ||
圧力 [MPa]※4 | 0.5~ |
今後、社会のデジタル化やIoT化、自動運転の進展によるセンサーモジュールの活用機会の増大など、アプリケーションの多機能化や高機能化によって、微細接続のニーズが高まることが想定されます。当社は、ディスプレイ向けACFで世界シェアNo.1※1を獲得するなど、長年にわたって蓄積したACFに関する知見と技術を継続して磨き上げ、デジタルテクノロジーを支える製品、ソリューションを提供してまいります。
- ※1 株式会社富士キメラ総研発行「2021ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」による、大型および中小型ディスプレイ向けACFの合計の2020年の金額シェア。
- ※2 対応最小スペース:隣接回路間のスペース
- ※3 最小接続面積のσ値管理に関しては、製品ごとにお問い合わせください。
- ※4 本圧着圧力:COG実装における圧力はバンプ総面積から算出。FOG、FOB、FOF実装における圧力は圧着面積から算出。