最小バンプ間隔10µmの実装が可能なChip On Glass(COG)実装向け粒子整列型異方性導電膜(ACF)を開発
新製品
2014.10.29
デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、フラットパネルディスプレイのガラス基板にドライバICなどを接続する、Chip On Glass(以下COG)実装用途向けに「粒子整列型異方性導電膜(ACF)」をあらたに開発しました。これにより、低背バンプ接続時のショート発生リスクの低減と最小バンプ間隔10µmのファインピッチ接続を実現、次世代のスマートフォンやタブレットPCなどのCOG実装に貢献します。
異方性導電膜(以下ACF)は熱硬化型樹脂のバインダーの中に絶縁コート付き導電粒子を均一に分散し、ガラス基板とICチップを接続する際、加熱、加圧することで多数の基板回路電極を一括接続できる接合材料です。導体のバンプ面で粒子が捕捉され導通し、捕捉されなかった粒子は端子間に移動するものの、絶縁コートにより導通せず、熱硬化バインダーによる信頼性の高い接着(封止)が可能で、高精細テレビやモバイル機器などのフラットパネルディスプレイとICチップの接続に広く使われています。

従来の異方性導電膜(ACF)の構造としくみ
現在、スマートフォンやタブレットPCなど、高精細なモバイル機器が増えてきたことで、さらなるファインピッチ化への要求が強く、粒子径を小さくし、粒子量を増やすことで小接続面積に対応してきましたが、COG実装ではガラス基板のパネル端子間も同様に狭くなり、粒子量を増やしすぎるとショート発生リスクが高まるため、安易に増量できないことが課題でした。
そこで、粒子を増やすのではなく、導電粒子を減らし、意図する位置に導電粒子を整列させたことで、ショート発生リスクが低くなるだけでなく、安定した粒子捕捉性能を実現しました。また、従来のACFでは加圧した際、バンプに捕捉されない粒子を端子間に逃がしやすくする流動性の高い樹脂をバインダーに使っているのに対し、一旦整列させた粒子が動かないように流動を抑制する新しい樹脂を同時に開発することで、圧着時にほぼ粒子が動かず、ショート発生リスクが低い「粒子整列型ACF」を開発しました。
粒子整列型ACFの構造
従来のACFではバンプ端子によって捕捉される粒子数にバラつきがありましたが、粒子整列型ACFでは※1にあるとおり、粒子数をコントロールすることで、捕捉数が安定し、接続信頼性の高い、確実な導通が可能になります。
粒子捕捉性能 (※1)
また、粒子量が少ないことで、※2のように低背バンプに使用しても、ショートの原因となる粒子の詰まりが起こりにくくなることを確認しています。
圧着部断面比較 (※2)
ACF接続時外観比較
以上のことから、新たな発想で生まれた粒子整列型ACFは、今後COG実装用途向けに最小バンプ間隔10µmでのファインピッチ接続が可能になる次世代の接合材料として、スマートフォン、タブレットPCなどの高精細FPDとICチップとの確実なファインピッチ接続と高い接続信頼性の向上に貢献すると期待されています。なお、本材料は従来のボンディング設備でそのまま使用可能で、新たな設備投資の必要はありません。本開発品に関する特許については申請済みです。
また、デクセリアルズは、パシフィコ横浜で2014/10/29 (水)~10/31(金)に開催されている「Display Innovation 2014」会場に本開発品を展示しています。会場にお越しの際は、ぜひ当社ブース(ブースNo.1401)にお立ち寄りください。