中小型ディスプレイパネル向けPSA変性型光学弾性樹脂(ハイブリッドSVR)を製品化、量産開始

新製品

2013.10.23

デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、UV硬化時に粘着特性を発現するPSA変性型、中小型フラットパネルディスプレイ(FPD)向け光学弾性樹脂(ハイブリッドSVR)、「HSVR300シリーズ」を製品化し、8月より量産を開始しました。高視認性、高コントラスト化、耐衝撃性向上で定評のあるSVRの優れた光学特性をそのままに、光学粘着フィルム(OCA)同等の作業性を実現し、硬化収縮による色ムラを抑えることが可能になり、主にOCAが主流のタブレットPC、2 in 1 ノートPCなどの中型FPD向けに拡販してまいります。また、ハイブリッドSVRの貼合プロセスはテレビなどの大型FPD向けにも応用可能です。

現在、FPDの視認性、コントラスト比を高めるために、カバーガラスとディスプレイモジュールをOCAで貼り合わせる、もしくは光学樹脂(OCR)を充填して貼り合わせる方法が用いられています。OCAは取り扱いが容易で、作業性に優れ、形状が一定で領域制御がしやすい反面、熱プレスとオートクレーブで気泡を抜く際、ガラスカバーの裏に印刷されている枠の印刷部分の段差に気泡を巻き込み、抜けにくい場合があります。

一方、OCRなどの液法は、平滑性、段差吸収性に優れていますが、塗布後に貼合するため、額縁が狭いとはみ出してしまうという課題がありました。特にタブレットPCをはじめとする中型FPDの7~15インチクラスでは、薄型、狭額縁化がすすみ、従来品では広い範囲に対し、液の濡れ広がりを均一にし、パネル端部のはみ出しを管理することが難しくなってきています。

ハイブリッドSVRは、カバーガラスに塗布し、印刷の段差を吸収した後、UV仮硬化により60%~80%の反応状態にすることで粘着特性が発現するため、OCRの課題だったパネル端部の液のはみ出しを管理する必要がなく、OCAと同等の作業性で貼りあわせが可能です。また、ディスプレイパネルの表示ムラの主な要因は、UV硬化収縮応力によってLCDのセルギャップが不均一になることで発生し、これを低減するにはパネルにストレスを与えず、貼り合わせる必要があり、貼合材料には低硬化収縮が求められています。ハイブリッドSVRは貼り合せ前にUV硬化収縮が進行しているため、本UV硬化での硬化収縮率は0.5%~1.2%とわずかで、パネルの色ムラを大幅に抑えると同時に,高接着強度による信頼性向上にも貢献します。

貼合プロセス比較

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従来品との仕様比較
製品名 SVR1120 HSVR300シリーズ Remarks
用途 中小型ディスプレイパネル 中小型ディスプレイパネル -
屈折率 硬化後 1.52 1.53 Abbe @25℃
粘度(mPa・s) 3,500 4,900 Rheo-meter @25℃
硬度 9 28 Durometer (Code E)
硬化収縮率(%) 1.6 3.3 Density meter
仮硬化条件(mJ/cm²) - 200~400 メタル ハライド ランプ
本硬化条件(mJ/cm²) 5,000 1,000 メタル ハライド ランプ

主成分:アクリル系 紫外線硬化型樹脂 色:透明


なお、このハイブリッドSVRは、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社製スマートフォンXperiaTM Z1に採用され、高コントラスト化に貢献しています。

デクセリアルズは、パシフィコ横浜で開催される【FPD International 2013】 2013年10月23日(水)~10月25日(金)ブースNo.2121 に出展いたします。 ご来場の際は、ぜひお立ち寄りください。