自動車のヘッドアップディスプレイの性能を向上する拡散マイクロレンズアレイを開発
~高輝度化と輝度ムラ低減に貢献~

製品

2021.05.13

 デクセリアルズ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:新家由久、以下 当社)は、自動車のヘッドアップディスプレイ(以下HUD)の輝度を向上させ、表示輝度のムラを低減する「拡散マイクロレンズアレイ」を開発しましたことをお知らせします。

拡散マイクロレンズアレイ
拡散マイクロレンズアレイ

 現在、自動車のフロントガラスに情報を投影するHUDの採用が増加しています。また、HUDに投影する情報は、走行速度や車内温度だけでなく、ナビゲーションや歩行者検知などのより安全性と関連が高い情報の投影も増えてきており、各種情報をHUD上に鮮明に表示したいという市場の要望が高まっています。

ヘッドアップディスプレイ(HUD)
ヘッドアップディスプレイ(HUD)

 このたび当社が開発した「拡散マイクロレンズアレイ」は、HUDの光源となるLEDから出る光を制御し、拡散配光をおこなうことでHUDの高輝度化と輝度ムラの低減を実現し、より鮮明な投影を可能とする拡散フィルムです。

 具体的には、ベースフィルムの表面に、当社の要素技術である微細構造形成技術を用いて微細なレンズを配置した“マイクロレンズアレイ構造”を形成。拡散フィルム全体として最適な配光特性となるように一つひとつのレンズの位置を設計、配置しているため、光源から発せられた光が効率的かつ均一に表示部に届き、HUDの輝度を約40%※1高めるとともに輝度ムラを低減します。

 また、マイクロレンズアレイ構造の形状を精密に制御して拡散角をコントロールすることで、拡散標準角8°10°12°の製品をラインアップ。お客さまのHUDの設計に適した製品をお選びいただけるため、既存の拡散フィルムを本開発品に置き換えるだけでHUDの性能向上が可能となります。

  • ※1一般的な拡散フィルム(拡散角5°、正規分布拡散)を本開発品(拡散角8°、トップハット状拡散)に置き換え、当社にてシミュレーション

拡散マイクロレンズアレイの詳細


■製品名
  • 拡散マイクロレンズアレイ
■特長
  • 微細構造形成技術を用いてマイクロレンズアレイ構造を形成
    当社の要素技術である微細構造形成技術を用い、ベースフィルムの表面に紫外線硬化型樹脂からなる微細なレンズを配置した構造を形成。
拡散マイクロレンズアレイ構造外観
  • 光をトップハット状に拡散配光させ、ロスや輝度ムラを低減
    最適な配光特性となるように設計されたマイクロレンズアレイ構造が光をトップハット状に拡散配光。正規分布(ガウス分布)状に光を拡散する一般的な拡散フィルムに比べて光のロスが少ないため、光の利用効率が向上し、高輝度化を実現。また、光の強度を整えやすいため、輝度ムラを低減できます。
本開発品
拡散マイクロレンズアレイ
一般的なHUD向け拡散フィルム
(微粒子塗布型)
トップハット状に拡散配光
トップハット状に拡散配光
正規分布(ガウス分布)状に拡散
正規分布(ガウス分布)状に拡散
光のロスが少ない 端部で光のロスが発生
光の強度を一定にしやすく、輝度ムラを低減可能 光の強度が一定になりにくく、輝度ムラが発生しやすい

  • HUD全体の設計変更が不要
    拡散標準角8°10°12°の製品をラインアップ。お客さまのHUDの設計に合わせて製品をお選びいただき、既存の拡散フィルムを本開発品に置き換えるだけでHUDの性能向上が可能です。

■使用例

■シミュレーション結果

■仕様
拡散マイクロレンズアレイ(本開発品)
基材 PET
最大幅 200mm
基材の厚み 100μm
標準拡散角 8°,10°,12°
拡散形状 / 拡散特性 円形 / トップハット※2 ※3
全光線透過率 86%以上(拡散角10°)

※2 等方な拡散特性

※3 コリメート光を入射した場合




(参考)SID Display Week 2021

本開発品は5月17日(月)~5月21日(金)にオンラインで開催される【SID Display Week 2021】に出展し、バーチャル展示を実施します。ぜひご覧ください。