インクジェット塗布に対応した光学弾性樹脂 "Jettable SVR" を開発
~ディスプレイ貼り合わせ工程における取り扱いやすさと塗布形状の自由度向上により各種ディスプレイへの採用拡大~

新製品

2020.09.28

デクセリアルズ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:新家由久、以下 当社)は、インクジェット装置による塗布に対応した光学弾性樹脂 “Jettable SVR” (ジェッタブル エスブイアール 以下、jSVR)を開発しました。本開発品はインクジェット塗布に対応することによって、取り扱いやすさと塗布形状の自由度が向上します。現在、スマートフォンやタブレットPCをはじめとするエレクトロニクス製品への本開発品の提案を開始しています。また、より厳しい耐久性が求められる車載ディスプレイ用途への最適化も図り、事業拡大に向けた取り組みを進めていきます。

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当社の光学弾性樹脂 “SVR” (エスブイアール 以下、SVR)はディスプレイパネル表示部とトッププレートの間にあるエアギャップを埋めるアクリル樹脂で、トッププレートの材質に近い光学特性を付与することでエアギャップの界面での光の反射を防ぎ、視認性向上を実現するとともに、衝撃吸収性をもたらす液状接着剤(OCR/LOCA)です。2007年の上市以来、スマートフォンやタブレットPC、車載ディスプレイなど、多くのディスプレイに採用されてきました。2013年にはUV仮硬化させた後に貼合することで作業性を向上させた “Hybrid SVR” (ハイブリッド エスブイアール 以下、HSVR)を上市しています。
今後、スマートフォンや車載ディスプレイへの曲面ディスプレイや異形ディスプレイの搭載が一層増え、液状接着剤が優位性を持つ貼合が増えることが見込まれる市場の方向性に着目し、当社は取り扱いやすさの改善と塗布形状の自由度の一層の向上を目指してきました。

このたび当社が開発したjSVRは、インクジェット塗布に対応することで、従来の光学弾性樹脂が持つ優れた光学特性はそのままに取り扱いやすさを向上させ、さらに任意の形状に塗布、貼合ができる製品です。
従来の光学弾性樹脂はディスペンス装置やスリット装置などを用いて塗布や硬化をおこなってエアギャップを埋めてきましたが、本開発品は印刷などに用いられるインクジェット技術を応用し、意図した位置に適切な量の樹脂を高い精度で塗布することが可能です。このため、塗布形状の自由度が向上し、ノッチ形状や内側カメラのための穴が開いたディスプレイへの対応、円形、文字の形での塗布なども可能です。さらには曲面ディスプレイへの塗布にも対応していきます。

jSVRを用いた塗布の例img20019_02.jpg

塗布厚は貼合形状にあわせて、部分的に変更できるなど、より精密かつ自由にコントロールが可能です。車載ディスプレイで求められる厚塗りにも対応可能で、塗布厚の幅広い要求に対応することができます。 また、本開発品はソフトウエア上で塗布形状や塗布厚の変更ができるため、生産モデルの切り替えも迅速におこなえます。さらに、インクジェット塗布の速度がディスペンス塗布やスリット塗布に比べて速いことも相まって、生産性も向上します。

当社は今後、本開発品を光学透明粘着シート(OCA)の代替や、従来の光学弾性樹脂では使用が難しい、複雑な形状や厚みの変化が求められる新しいデザインのディスプレイにおける採用を目指し、事業を拡大してまいります。

■本開発品(jSVR)と従来の光学弾性樹脂の特長比較
jSVR HSVR SVR
塗布方式 ・インクジェット塗布
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・スリット塗布
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・ディスペンス塗布
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塗布貼合
方法
  • 樹脂を印刷のように必要な箇所に適切な量を塗布し、UV仮硬化をおこなう
  • その後、真空貼合をおこない、UV本硬化によって樹脂を硬化させる
  • 樹脂を一面に均一に塗布し、UV仮硬化により樹脂形状を保持させる

  • その後、真空貼合をおこない、UV本硬化によって樹脂を硬化させる
  • 樹脂量を計算し、トッププレート上に塗布する
  • その後、トッププレートを反転貼合することで樹脂を一面にぬれ広げ、UVによって樹脂を硬化させる
塗布形状
  • 塗布形状をソフトウエア上でコントロールできるため、四角形だけでなく様々な形に塗布可能
  • スリット塗布のため、塗布形状が四角形に限定される
  • ディスプレイから樹脂がはみ出さないようにするため、塗布形状パターンの構築や周辺にダム樹脂を塗布するなどの制御が必要
取り扱い
  • ディスプレイ変更による塗布形状の切り替えはソフトウエア上で実施するため、メンテナンスを最小限に抑えることができる
  • ディスプレイ変更による塗布形状の切り替え時にはハードウエアのメンテナンスが必要
  • ディスプレイ変更による塗布形状の切り替え時にはハードウエアのメンテナンスが必要
■仕様
製品名 jSVR1
塗布装置 インクジェット
仮硬化条件[mJ/cm2]2 500~1,000
本硬化条件[mJ/cm2]3 1,000
粘度[mPaS]4 10~30
硬度5 E15~E40
屈折率6 硬化物 1.45~1.49
弾性率[Pa]7 25℃ 104 106
保管温度[] 10~30
  • ※1仕様数値は特定の型番のものではなく、対応可能範囲を示したものです。詳細な仕様については当社営業窓口にお問い合わせください。
  • ※2LED 365nm
  • ※3メタルハライドランプ
  • ※4Rheo-meter @25°C
  • ※5Durometer (Code E)
  • ※6Abbe @25℃ D線(589nm
  • ※7DMS method:@1Hz

  • SVR、Hybrid SVR、またそのロゴは、デクセリアルズ株式会社の日本およびその他の国における登録商標です。
  • Jettable SVRはデクセリアルズ株式会社の商標です。
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