変圧器などの電気設備の油漏れの応急補修に有効 "インフラエイド™"UV硬化型シール材「UVS-1000C」を製品化
新製品
2020.05.26
デクセリアルズ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:新家由久、以下当社)は、変圧器などの電気設備の油漏れ(漏油)の応急的な補修に有効な、
“インフラエイドTM”UV硬化型シール材「UVS-1000C」を製品化しました。
本製品は変圧器を保有する国内の電力会社、鉄鋼会社、石油化学会社などに既に試験販売を進めており、東京電力パワーグリッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子禎則)に漏油の応急補修材として導入されました。
電力会社や鉄鋼会社や石油化学会社などでは、変圧器が多く使われています。これらの変圧器は、長期間にわたり使用するためのメンテナンスが欠かせません。変圧器には絶縁と冷却のために油が用いられていますが、油を通す装置、配管の腐食や、配管の接続部分であるフランジやバルブなどのガスケットの劣化により、漏油が発生することがあります。漏油が進展すると油の損失だけでなく、機器の機能不全や工場内外の環境汚染の原因になるため、迅速に対応することが求められています。
変圧器の漏油を根本的に解決するには、稼働を一度停止して油を抜き、部品を交換する大掛かりなオーバーホールをおこなう必要があります。このオーバーホールには多くの時間とコストがかかるため、それまでのつなぎとして、漏油箇所をシール材で封止する応急的な補修がおこなわれています。しかし、補修の際に油が付着している箇所にはシール材が接着しないことや、硬化に時間がかると補修箇所に油道ができてしまうことで、漏油が止まらないという課題がありました。
このたび当社が製品化したUV硬化型シール材「UVS-1000C」は、油面があっても接着することができ、短時間で硬化する漏油補修用のシール材です。
シール材自体が油となじみ、油を取り込むことで、配管などの接着面とシール材が接触するため、多少の油膜があっても接着が可能です。また、UV照射によって瞬時に硬化するため、油道ができる前に封止することができます。完全硬化までの待ち時間もないため、作業時間を短縮します。さらに1液タイプであるため、使用前に混合の必要がなく取り扱いが容易で、お客さま自身での作業も可能です。
当社は、高い技術力で社会課題を解決し、新規領域での事業拡大を通じて持続的な成長を確立することを目指しています。本製品の開発はこの取り組みの一環であり、漏油という社会課題を解決し、お客さまに新しい価値を提供するべく、当社がエレクトロニクス領域において培ってきた、接着剤の多様な材料配合の知見とノウハウを活かして開発したものです。
当社は本製品を今後、変圧器などの電気設備に限らず、中小型の機械設備や自動車パーツの補修用途などにも提案し、販売を拡大していきます。また、独自の要素技術を活かして、漏ガスや漏水などを補修するインフラ保全用途の補修材を開発し、インフラエイドの製品構成を拡充して事業成長を目指してまいります。
■製品情報
型番 | UVS-1000C | |
---|---|---|
種類 | 1液UV硬化型アクリル | |
性状(硬化前/硬化後) | 白色粘性液状/白色固体 | |
各種素材への接着性 ※1 | 良好 | ステンレス、鋳鉄、硬質塩化ビニル、アクリル(PMMA)、 ガラス、亜鉛めっき鋼、炭素鋼、真鍮、アルミ |
劣る | オレフィン系樹脂(PP,PE) | |
不可 | シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂 | |
油面接着性シェア強度[MPa] ※2 | 油膜なし ※3 | 8 |
油膜あり ※4 | 6 | |
絶縁破壊電圧[KV/mm] ※5 | 52 | |
保管期限(目安) | 製造後2年(未開封・常温暗所保管) | |
正味量 | 200g | |
容器 | フタ:PP 容器:PE |
- ※1#1000ケレンあり
- ※2SUS304 #1000ケレン シェアテスター@0.2mm/s, 25℃
- ※3脱脂後
- ※415wt%絶縁油Aヘキサン溶液へ浸漬・乾燥後
- ※5ASTM D149準拠
- 硬化条件:1J/cm2 @365nm
■施工のイメージ
① | ② | ③ | ④ |
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劣化した塗膜・錆を除去、洗浄 | 筆などでシール材を塗布 | UVライトで硬化 | 施工完了 |
- ※ “インフラエイド”および“INFRA-AID”は当社の商標です。