5G通信など高速大容量の情報処理を担うICチップのノイズ対策と熱対策に適した ノイズ抑制熱伝導シート 炭素繊維タイプ「EX10000K3シリーズ」を開発
~GHz帯の高周波ノイズ抑制と熱伝導率20W/m・Kを両立~
新製品
2018.08.28
デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、5G通信などの高速で大容量の情報処理をおこなうICチップに向けて、ノイズ抑制機能と炭素繊維の配合による高い熱伝導率を両立するノイズ抑制熱伝導シート 炭素繊維タイプ「EX10000K3シリーズ」を開発しました。本開発品は1枚でノイズ抑制機能と高い熱伝導率を両立するため、製品の省部品化や薄型化、製品内部の効率的な熱伝導に貢献します。
現在、スマートフォンをはじめとする各種デバイスの高性能化や内部の高集積化がすすみ、搭載されているICチップが処理する情報量も急速に増加しています。これに対応するため、ICチップは動作周波数を高め、コア数を増やすことで情報処理能力を高めてきました。また、今後導入が予定されている5G通信や、AI、IoT、自動運転の進展などによってさらなる情報処理能力向上が見込まれます。しかし、情報処理能力の向上と同時に高周波ノイズや熱の発生量も増加し、その対策が大きな課題となっています。熱対策に対して当社は炭素繊維を使用した熱伝導シートを上市しており、これまでに5G通信基地局やハイエンドスマートフォンなどに採用され、高い評価を得ています。
一方、ICチップのノイズ対策においては、シールドカンと呼ばれる金属でICチップの周囲を囲み、銅板や銅箔テープなどで上部を覆うことで、ノイズを抑制していました。しかし、ICチップの周囲を囲んでしまう構造のため、銅板や複数枚の熱伝導シートを介してヒートシンクや筐体などの放熱部品に熱伝導させることとなり、効率よく熱を伝えることができませんでした。
このたび当社が開発した「EX10000K3シリーズ」は、ノイズ抑制機能と高い熱伝導率を両立した熱伝導シートです。磁性紛を配合することにより、シートにノイズ抑制機能を付加しました。ICチップを高い周波数で動作させると発生しやすいGHz帯のノイズに対して、銅箔テープを使った従来のシールド構造よりも優れた効果を発揮し、ノイズも抑制することができます。また、炭素繊維を垂直方向に向きを揃えて配合することで、20W/m・Kの熱伝導率を実現しています。
開発品の仕様
EX10000K3 シリーズ | 備考 | ||
---|---|---|---|
熱伝導率(W/m·K) | 20 | バルク熱伝導率としての計算値 | |
主成分 | シリコーン | - | |
色 | 灰色 | - | |
硬度 | 40~60 | Shore OO ASTM D2240 |
|
シートの対応厚み(mm) | 0.5~4.0 | - | |
比重 | 4.1 | - | |
体積抵抗率(Ω・cm) | 10 | JIS K7194 | |
比透磁率µr″ | 1GHz | 1.8 | Sパラメータ法 |
2GHz | 2.1 |
ノイズ抑制効果 比較
※ 一般的な従来のシールド構造と本開発品(厚さ0.5mm)を使用した構造を用いて当社測定
こちらの記事の内容は発表当時のものです。
現在当該製品は既に生産を終了しており、ご注文やサンプルの提供を行っておりませんので、ご了承ください。