施工性と再帰性を向上させた熱線再帰フィルム アルビードを開発、出荷開始

新製品

2017.01.10

デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、従来品よりも施工性と再帰性を向上させた熱線再帰※1フィルム アルビード「IRAVK700」を開発し、2016年12月より出荷を開始いたしました。

熱線再帰フィルム アルビードは太陽からの近赤外線(熱線)を上方へ反射させる新しいタイプの窓用透明遮熱フィルムです。独自に開発したフィルム内部の熱線選択反射膜で、日射に含まれる可視光線はそのまま室内に透過させて、熱線だけを選択して上方に反射し、地表に向かう熱線を減らします。アルビードをビルの窓ガラスの内側に貼ることで、窓ガラスから入る熱線を遮蔽し、室内の温度上昇を抑え、同時に建物周辺の暑熱環境を改善し、ヒートアイランド現象の緩和に貢献します。
当社は2013年の東京電機大学 千住キャンパスでの施工以来、開発・事業化を進めてきました。これまで横浜赤レンガ倉庫や三菱地所大手町ビルをはじめ、複数の公共施設やオフィスビル、大学などにご使用いただいております。

このたび開発した新製品は、従来品に比べ、施工性が向上しました。 一般に窓ガラスは上下に長い形のものが多いため、ロール状のフィルムを横向きに貼るタイプであった従来品は、窓の高さに応じてフィルムを複数枚上下につなぎ合わせて貼る必要がありました。これに対して新製品はロールから引き出して縦向きに貼ることができるため、上下に長い窓に対して、大きいサイズで貼り付けることが可能になりました。窓の幅が1.2メートルまでであれば1枚で貼り付けることができ、継ぎ目が発生しません。フィルムの厚みも従来品の140μmより35μm薄い105μmになり、取り扱いが容易になりました。また、粘着剤層と熱線選択反射膜を埋め込む樹脂層の構成を見直すことで、施工後に窓ガラスとフィルムの間に残る水の乾燥性が向上することを確認しています。

従来品と新製品の貼り付け比較

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さらに、フィルム内部の熱線選択反射膜にも変更を加え、熱線がより太陽に近い方向に反射するよう再帰性を向上させました。フィルムを南向きの窓に施工した場合、従来品では山形の反射膜によって東の空から入射した熱線が西の空に、西の空から入射した熱線は東の空に反射していました。しかし、新製品は新たに開発した四角すい形にくぼんだ反射膜を採用することで、東の空から入射した熱線がおおむね東の空に、西から入射した熱線はおおむね西の空に戻るように設計しました。

熱線選択反射膜 入射面拡大図

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当社はこれまで熱線再帰フィルム アルビードの事業を展開してまいりましたが、加えてこのたび藤田産業株式会社様へのODM生産(相手先ブランドでの製造・設計)を開始し、熱線再帰フィルムの事業を積極的に推進してまいります。

  • アルビードおよびそのロゴは当社の登録商標または商標です。
製品仕様
IRAVK700
(縦貼り)
当社従来品
(横貼り)
備考
タイプ 内貼り専用 内貼り専用
サイズ(幅×長さ) 1,200mm×30m 1,200mm×30m
フィルムの厚み(µm) 105 140
接着力(N/25mm) > 8 > 10 JIS A5759
全入射近赤外線に対する
近赤外線上方反射率(%)※2
31 33
遮蔽係数※3 0.65 0.64 JIS A5759
日 射 反射率(%) 15 18 JIS A5759
透過率(%) 43 43 JIS A5759
吸収率(%) 42 39 JIS A5759
可視光線 反射率(%) 9 9 JIS A5759
透過率(%) 67 68 JIS A5759
紫外線透過率(%) < 0.5 < 0.5 JIS A5759
熱貫流率(W/m2・K)※4 5.8 5.8 JIS A4710
  • 上記値は、透明フロートガラス(厚さ3mm)に貼付した場合の実測値です。
    JIS A5759による光学特性は標準の入射角で測定。実際の太陽光は斜めから入射するため、光学特性は異なる場合があります。
  • ※1熱線再帰:上方から入射する熱線を上方に反射する機能を指しており、必ずしも光源に向かって反射するわけではありません。
  • ※2フィルムを鉛直に配置し、近赤外線を上方60度より入射した際に、水平面より上方に反射した近赤外線を測定し、JIS A5759に基づく重価係数を掛けて算出。
  • ※3日差しの暑さを遮る効果を見る指標。
  • ※4フィルムを貼り付けた透明フロートガラスの断熱性能を見る指標

こちらの記事の内容は発表当時のものです。
現在当該製品は既に生産を終了しており、ご注文やサンプルの提供を行っておりませんので、ご了承ください。