最小配線間隔10μmでの実装が可能な接合材料 粒子整列型異方性導電膜(ACF)"アレイフィックス"を製品化

新製品

2016.12.07

デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、従来の異方性導電膜(以下ACF)よりも微細な回路の接続に適した粒子整列型異方性導電膜(ACF)
“アレイフィックス” 「PAF300B」「PAF300C」を製品化しました。

このたび製品化した粒子整列型ACFは導電粒子を意図した位置に整列させることにより、狭小スペースでも多数の配線を安定して接続できる接合材料で、ディスプレイパネルのガラス基板上にドライバーICを実装するChip On Glass(COG)実装用途に適した製品です。また、実装後に画像処理でおこなう接合検査の精度が向上し、生産歩留まりの改善にも貢献します。

現在、スマートフォンやタブレットPCなどコンシューマーIT機器のディスプレイやカメラなどの高性能化が進展し、同時に実装部品の小型化も進んでいるため、配線の微細化(ファインピッチ化)の要求がより高まっています。当社は微細な接続に対応するため導電粒子を整列配置させ、粒子密度を従来品の半分以下に抑えた粒子整列型ACFを開発しました。実装中も粒子が動きにくいバインダーを使用することで隣接端子間での絶縁性と上下端子間での粒子捕捉性という、相反する特性を両立させて安定した配線接続を実現しました。

また、粒子整列型ACFは従来のACFに比べて画像処理でおこなう接合検査(圧痕検査)の検出精度が向上します。従来のACFは導電粒子が厚み方向にばらつきをもって分散していたため、接合時に粒子が重なり合ったり、圧痕の強度が均一ではなかったりする問題がありました。そのため実装後の圧痕検査での検出が難しく、実際は良品でも不良品と誤判定されてしまうケースがありました。一方で粒子整列型ACFでは粒子を平面に並べているので、導電粒子の位置に厚み方向のばらつきが少なく、従来のACFが圧痕検査時に有していた課題を解決して歩留まり向上に貢献します。

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当社はこれまで、複数のお客様に粒子整列型ACFの採用を検討いただき、サンプルの提供・実装・評価などを進めてきました。既にLCDモジュールや有機ELモジュールなどのCOG実装用途では複数の採用が決定しており、ガラス基板にフレキシブルプリント基板を実装するFilm On Glass(FOG)実装用途でも検討・試作が進んでいます。
当社はこのたびの製品化を機に、粒子整列型ACFを積極的に提案してまいります。

※ “アレイフィックス“は当社の登録商標です。

顕微鏡での手動カウントと基板外観検査装置(AOI)の粒子検出数比較

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IC :0.8mm × 29.8mm, 高さ 0.15mm
ICバンプ :金めっき 12µm × 80µm, 高さ 12µm
ガラス基板 :厚み 0.6mm
圧着条件 :温度 150℃, 時間 5sec, 圧力 60MPa
基板外観検査装置(AOI) :FPX101AI(Panasonic製)
測定条件 :X10微分干渉撮像
分解能 :1µm
※基板外観検査装置は不良パネル見逃し防止のため、形状が不確定 あるいは低コントラストの圧痕を検出しない設定を行っています。

製品仕様
PAF300B PAF300C 当社従来品
導電粒子径(μmφ) 3.5 3.2 3.2
導電粒子面密度(kpcs/mm2) 20 28 60
対応最小接続面積(μm2) 400 ※1 300 ※1 1300 ※2
対応最小スペース※3(μm) 10 10 12

※1 当社独自のシミュレーションによって算出された最小接続面積
※2 捕捉粒子数の平均-4.5σ≧3個を満たす最小接続面積
※3 隣接する端子と端子の間隔