凝結・凝集・脱水促進機能を持つ、排水処理剤(無機排水用)、量産開始

新製品

2015.11.02

デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、工場など製造事業所で排出される無機系排水の排水処理に使われるアニオン系排水処理剤として、めっき工場などの金属イオン含有排水向けPL-A510と、半導体工場などのフッ素イオン含有排水向けSC-A510の2種の量産を開始しました。この排水処理剤は植物の特性を活かした排水処理剤で、デクセリアルズの要素技術である有機材料設計・配合技術を応用して生まれた製品です。植物から得られる水溶性高分子により、無機排水に対し、優れた凝結・凝集性能を発揮する上、植物の構造がもたらす脱水促進の3つの機能を兼ね備えています。これにより、薬剤使用量と廃棄物となる汚泥廃棄量の大幅削減に貢献します。

<1剤で優れた凝結・凝集性能を持つ排水処理剤>

当社は、根上事業所や中国蘇州工場における回路基板の製造過程において、排出される無機排水を放流可能な水質にする排水処理を行っていました。その際、河川の水質維持のために相当量の薬剤を使用し、かつ大量の汚泥を産業廃棄物として廃棄していました。そこで、2009年に環境負荷低減活動の一環として、薬剤使用量削減・汚泥廃棄量の削減が可能な薬剤の開発をスタートさせました。通常の無機排水処理は一次凝集剤や中和剤で一次処理した後、コロイド化した析出物(コロイド粒子)を凝結剤や、二次凝集剤で二次処理を行うことで、大きなフロック(固まり)にして沈降を促進させます。沈降したフロックは、脱水処理し、残った汚泥を廃棄物として処理します。その際、脱水助剤を添加することもあります。




img15_011_02.jpg




当社では植物由来の水溶性高分子がアニオンに分極(電荷のかたより)する官能基を多く持っており、荷電中和に優れ、コロイド粒子を素早くフロック化することに着目、また、植物の繊維構造によってフロックの脱水時間を短縮できることを見出しました。さまざまな植物で天然水溶性高分子の有効性を試行錯誤しながら、2010年より当社の中国蘇州工場、2011年より当社根上事業所で試作品による実証試験を開始しました。デクセリアルズが得意とする有機材料設計・配合技術を活かした有機材料高分子と有効成分である植物由来の水溶性高分子の最適組成により、効果を最大化させることで、1剤で凝結・二次凝集・脱水促進の3つの機能を兼ね備え、一次処理時の薬剤使用量と汚泥廃棄量の大幅削減が可能な排水処理剤を開発しました。


img15_011_03.jpg


<コスト面と環境面に貢献>

この排水処理剤を使った当社根上事業所での3年間にわたる実証実験では、一次処理での一次凝集剤使用量は42%、中和剤使用量は49%に削減、廃棄される汚泥廃棄量もほぼ半減させることができ、コスト面と環境面で貢献することが確認されました。


【PL-A510使用時の一次凝集剤、中和剤使用量削減】

img15_011_05.jpg

img15_011_04.jpg


カテゴリー: めっき工場
製造事業所: 当社根上事業所
所在地: 日本(石川県)
対象イオン: 銅(Cu)イオン
排水量: 540,000トン/年
評価期間: 2010年~2013年
*1 高分子凝集剤(ポリアクリルアミド)
*2 PL-A510は、高分子凝集剤と同じ量を使用しています。

数社の製造事業所(めっき工場、半導体工場)でのフィールドテストを経て採用が決まり、7月より量産を開始しています。今後、環境負荷への関心が高い日本や欧州を皮切りにアメリカ、台湾、シンガポールなどグローバルに排水処理剤ビジネスを拡大していく予定です。

img15_011_06.gif

なお、デクセリアルズは、本製品を次の展示会に出展いたします。
・「AQUATECH AMSTERDAM 2015」会場(ブースNO.07.352)
 アムステルダム(オランダ)で開催 11/3(火)~6(金)
・INCHEM TOKYO 2015 「第5回水イノベーション」(東ホール ブースNO.1D-22)
 東京ビッグサイト(日本)で開催、11/25(水)~27(金)
会場にお越しの際には、ぜひ当社ブースにお立ち寄りください。

こちらの記事の内容は発表当時のものです。
現在当該製品は既に生産を終了しており、ご注文やサンプルの提供を行っておりませんので、ご了承ください。