UV硬化時にPSA(粘着)特性を発現する中小型ディスプレイパネル向け光学弾性樹脂(SVR)を開発

新製品

2013.05.22

デクセリアルズ株式会社(代表取締役社長 一ノ瀬 隆、東京都品川区)は、UV硬化時に粘着特性を発現するPSA変性型、中小型フラットパネルディスプレイ(FPD)向け光学弾性樹脂(SVR)をあらたに開発しました。これにより、高視認性、高コントラスト化、耐衝撃性向上で定評のあるSVRの優れた光学特性をそのままに、光学粘着フィルム同等の作業性を実現し、硬化収縮による色ムラを抑えることが可能になります。

現在、FPDの視認性、コントラスト比を高めるために、カバーガラスとディスプレイモジュールを光学粘着フィルムで貼り合わせる、もしくは光学樹脂を充填して貼り合わせる方法が用いられています。光学粘着フィルムは取り扱いが容易で、作業性に優れ、形状が一定で領域制御がしやすい反面、熱プレスとオートクレーブで気泡を抜く際、ガラスカバーの裏に印刷されている枠の印刷部分の段差に気泡を巻き込み、抜けにくい場合があります。


一方、液法は、平滑性、段差吸収性に優れていますが、塗布後に貼合するため、額縁が狭いとはみ出してしまうという課題がありました。特にタブレットPCをはじめとする中型FPDの7~15インチクラスでは、薄型、狭額縁化がすすみ、従来品では広い範囲に対し、液の濡れ広がりを均一にし、パネル端部のはみ出しを管理することが難しくなってきています。

PSA変性型光学弾性樹脂は、カバーガラスの印刷面に塗布し、段差吸収した後、UV仮硬化により60%~80%の反応状態にすることで粘着特性が発現するため、光学粘着フィルムと同等の作業性で、貼りあわせが可能です。また、貼り合せ前にUV硬化収縮が進行しているため、本UV硬化での硬化収縮率0.5%~1.2%とわずかで、パネルの色ムラを大幅に抑えるなど、信頼性向上につながると期待しています。

貼合プロセス比較
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従来品との仕様比較
製品名 SVR1120 PSA変性型SVR Remarks
用途 中小型ディスプレイパネル 中小型ディスプレイパネル -
屈折率 硬化後 1.52 1.53 Abbe @25℃
粘度(mPa・s) 3,500 5,000 Rheo-meter @25℃
硬度 9 16 Durometer (Code E)
硬化収縮率(%) 1.6 3.3 Density meter
仮硬化条件(mJ/cm²) - 1,000~2,000 メタル ハライド ランプ
本硬化条件(mJ/cm²) 5,000 1,000 メタル ハライド ランプ

主成分:アクリル系 紫外線硬化型樹脂 色:透明

<光学弾性樹脂(SVR)とは>

カバーとディスプレイの間に屈折率(カバーと同等)を制御した光学弾性樹脂を充填することで、エアギャップ構造に比べ、光の散乱を少なく、視認性を向上させることが可能です。また、この充填した樹脂自体に弾性を持たせることで、それ自体がクッションとなり、外からの衝撃をやわらげ、カバーやディスプレイモジュールを破損から守るだけでなく、カバーが破損した場合でもガラスの飛散を防ぎ、パネルの強度補強も同時に実現します。

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現在、本開発品に関する特許を申請中です。
また、デクセリアルズでは、サンプル出荷と合わせて、工法、設備などに関する情報についてもご提供させていただく予定です。なお、カナダ(バンクーバー)で2013/5/21(火)~5/23(木)に開催されている「SID Display Week 2013」会場にて本開発品を展示いたします。会場にお越しの際は、ぜひ当社ブース(ブースNo.509)にお立ち寄りください。

会社概要

デクセリアルズ株式会社
代表者: 代表取締役社長 一ノ瀬 隆
本社所在地: 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー8F
事業内容:接合材料、光学材料、電子部品などの製造、販売