難燃性と低反発特性を両立させた、ハロゲンフリー、リンフリーの「感光性低反発ポリイミド樹脂」を開発
~フレキシブルプリント基板向けフォトカバー材インクとして来春、製品化~

新製品

2008.10.27

この度、ソニーケミカル&インフォメーションデバイスは、可溶性ポリイミド樹脂をベースに優れた耐熱性、難燃性、絶縁性に低反発特性を付加した「感光性低反発ポリイミド樹脂」を新たに開発しました。小型・薄型化、高密度実装がすすむ携帯電話のフレキシブルプリント基板用フォトカバー材インクとして、来春、製品化を目指します。

【ハロゲン、リン系難燃剤を使用しない、環境負荷が少なく、高信頼性の感光性低反発ポリイミド樹脂】
一般的にポリイミドフィルムは耐熱性、難燃性、屈曲耐性に優れることからフレキシブルプリント基板のベース材料やカバー材として広く使われてきました。しかしながら、携帯電話のような限られたスペース内では、基板の折り曲げ、組み込みの際に、反発力(スプリングバック)が高いため、そのままでは使用できない場合がありました。そこで従来のカバー材は、低反発特性を付加していますが、その結果、難燃性が悪化し、燃えやすくなるため、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をあらたに配合することで、難燃性を維持しています。しかし、ハロゲン系難燃剤はダイオキシンの発生が敬遠され、リン系難燃剤は銅の変色や湿熱環境下で絶縁信頼性が低下することやマトリックスポリマーとの不相溶によるブリードアウト(*1)の克服が課題となっており、環境負荷が少なく、基板用カバー材として基板の信頼性を損なう可能性のある材料を使わないという観点から難燃材を使用しない材料が望まれていました。
そこで当社はポリイミド樹脂の高い難燃性、絶縁性をそのままに低反発特性を付加し、新たなポリイミド樹脂を開発しました。このポリイミド樹脂は、主鎖へ難燃性の高い柔軟成分(ソフトセグメント)および銅との密着力を高める独自ユニット(*2)を組み込み、新規の分子設計をおこなうことで、低反発特性と難燃性を両立させることが可能となり、その結果、難燃剤を使わない、ハロゲンフリー、リンフリーを実現しています。
この感光性低反発ポリイミド樹脂を使用し、環境に配慮した部品、材料を望むユーザーニーズに応えるフレキシブルプリント基板(以下FPC)用フォトカバー材インクとして製品化を目指します。
  • *1ブリードアウトとは、フィルム中の添加剤が時間とともに凝集固化し、フィルム表面にブリーミング(粉付き状態)すること。
  • *2イハラケミカル工業株式会社様との共同開発材料

■ 図1<反発力比較データ>
※自社フレキシブルプリント基板、カバーレイフィルムタイプの反発力を100とした場合の換算指数。

自社フレキシブルプリント基板による反発力比較
タイプ

感光性低反発ポリイミドインク

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感光性液状レジスト

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カバーレイフィルム

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カバー材厚み 13µm 13µm

27.5µm

反発力指数(※) 25 53 100

評価方法

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【さらなる薄型化を実現、感光性低反発ポリイミドインクで高密度実装が可能】
この感光性低反発ポリイミド樹脂を使ったフォトカバー材インクは、薄く塗った場合でも、高い絶縁特性を持っているため、信頼性を維持できるのが特徴です。さらに接着剤を使わないオールポリイミド化が可能となるため、従来の構成に比べ、約半分までの薄型化を実現しました。

■ 図2 <オールポリイミドによる薄型化が可能>

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また、携帯電話の有機EL・液晶モジュール用途では、高精細化によりFPCの狭小化がすすみ、微小開口ランド、開口精度の向上など高密度での実装要求が強くなっています。この感光性低反発ポリイミド樹脂を用いたフォトカバー材インクを使うことで、従来のカバーレイフィルムの打抜きでは難しい狭開口の形成が容易となり、FPCのさらなる高密度実装対応が可能です。

<感光性低反発ポリイミドインクの材料特性>*当社万能材料試験機による測定。
試験サンプル 10mm x 50mm
性状: 液状(固形分約50%)濃赤色
硬化膜物性: 引張弾性率 279MPa, 破断伸び41.6%, 破断強度19.8MPa
硬化膜難燃性: VTM-0相当

なお、10/29(水)~10/31(金)パシフィコ横浜で開催される「FPD International 2008」会場にて
【感光性低反発性ポリイミド樹脂】フォトカバー材インクを用いたフレキシブルプリント基板を参考出品いたします。
会場にお越しの際は、ぜひ弊社ブースにお立ち寄りください。(部品材料ゾーン内ブースNO.1501)

こちらの記事の内容は発表当時のものです。
現在当該製品は既に生産を終了しており、ご注文やサンプルの提供を行っておりませんので、ご了承ください。