個人投資家のみなさまへ

平野正雄が見るデクセリアルズ

企業価値の向上と持続的成長の実現を

平野正雄に社外取締役の視点からデクセリアルズのガバナンス体制や経営についてお話を伺いました。

デクセリアルズの経営体制について

――社外取締役の視点から見て、デクセリアルズはどのような会社ですか?

デクセリアルズは、昨年に株式上場を果たしたばかりの若い企業です。ただし、そこに至るまでは長い道のりがありました。デクセリアルズの母体は旧ソニーケミカル㈱であり、その創業は1962年にさかのぼります。旧ソニーケミカル㈱は、一旦は株式上場を果たしますが、その後ソニーの100%子会社となり、やがて2012年にソニーから分離独立し、デクセリアルズが誕生しました。このようにデクセリアルズは、幾度とない株主の変更を経てきており、株主の利益や株主との関係性についての意識は、従前より高い会社であると言えます。とりわけ、現在の経営陣はLBO※による独立を成功させた経緯があり、当時の株主であった投資ファンドとの対話を通して株主価値経営やコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んできました。そして、公開会社になった現在も、経営陣は株主価値を重視した規律ある経営を継続しています。

  • ※LBO(レバレッジド・バイアウト)
    企業買収の手法の一つで、買い手(ファンドなどであることが多い)が企業を買収する際に、買収先企業の保有資産や将来生み出すキャッシュ・フローを担保に買収資金を調達して行う企業買収。この借入金は買収された企業の負債となる。

――デクセリアルズのガバナンスに対する印象をお聞かせ下さい。

デクセリアルズの取締役会は社内役員が3名に対して社外役員が4名で構成されており、過半数を外部役員が占めることで高い独立性や客観性が確保されています。これは日本企業としては先進的な取り組みであり、経営陣のコーポレート・ガバナンスへの高い意識の表れと言えるでしょう。その社外役員の方々のバックグラウンドも、元企業経営者、弁護士、女性のNPO理事、そして大学教授など多様であり、3名の社外監査役の方を含めて、複合的な視点から経営課題が討議されるよう人選がなされています。

また、社外役員や監査役の方々の当事者意識も高く、取締役会への出席だけではなく、工場や開発現場の訪問を含めて独自に事業内容や経営課題の把握に努めています。これにより実際に毎回の取締役会では、社外役員と経営陣との間で活発な議論が行われており、常に企業価値向上を念頭に緊張感をもった意思決定がなされています。

持続的な成長に向けた課題と社外取締役の役割

――デクセリアルズの強みは何でしょうか。

デクセリアルズは主にモバイルIT機器で使われる中・小型ディスプレイ向けのフィルムや粘着剤などの化成品で競争力ある商品を複数有していることから、近年のスマートフォン市場の急成長に合わせて業績を拡大してきました。その競争力の源泉になっているのが光学特性や粘着性などの機能を持った化成品の開発・加工能力であり、デクセリアルズが特に優れているのは顧客に密着して商品開発を行う技術マーケティング能力です。この強みをさらに伸ばすために、デクセリアルズでは技術開発に優先的に資源配分を行うとともに、顧客志向の組織体質作りを進めており、取締役会もその取り組みを評価しています。

――今後デクセリアルズが成長を続けるために大切なこと、またその際に社外取締役が担う役割について、どのようにお考えですか?

今、デクセリアルズに最も期待されていることは、既存の中・小型ディスプレイ分野に次ぐ成長の柱の構築です。中期経営計画では、新たな基幹製品としての光学フィルムの育成に加えて、自動車、通信・半導体、環境、ライフサイエンス分野といった新領域市場の開拓を経営の最重点テーマとして表明しています。社外取締役として、その進捗をしっかりモニタリングしていくとともに、機動的な経営判断を後押ししていく所存です。