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製品/技術/研究開発

最大定格電圧・電流に対応したねじ止めタイプのセルフコントロールプロテクターを製品化

当社のセルフコントロールプロテクター(以下、SCP)は、リチウムイオンバッテリーの過充電・過電流を確実に遮断する表面実装タイプのヒューズです。1994年の上市以来、ノートPCやスマートフォン、電動工具などのバッテリーに広く採用されています。
近年、カーボンニュートラルの観点から電動バイクの普及や、社会のIoT化に向けて電動の無人搬送車の使用が広がるなど、電動車両の活用が増加しています。また、電動車両に電力を供給するため、蓄電池をはじめとするエネルギー貯蔵システムの普及も進み、リチウムイオンバッテリーの活躍の場が広がっています。これらの機器はコンシューマーIT機器に比べて高電圧かつ大電流を扱うため、その保護のためのヒューズが求められており、当社では高電圧、大電流対応のSCPの開発を進めてきました。

一般的に、高電圧の製品ほどリチウムイオンバッテリーが過電流に陥った際に起こるアーク放電の影響が大きく、ヒューズエレメントを用いた回路遮断も難しくなります。こうした課題に対し、当社は材料と製品構造の最適化を図り、2023年4月、SCPのラインアップとして最大となる、最大定格電圧125Vおよび定格電流150Aに対応した「SFM-50150」を製品化することができました。また、この「SFM-50150」は、当社のねじ止めタイプSCPとして初めて完全鉛フリーを実現し、環境負荷の低減に貢献します。

課題
リチウムイオンバッテリーの電圧が高いほど、過電流遮断時のアーク放電が起こりやすく、ヒューズエレメントを用いた回路遮断が困難

①ケース部分の使用材料②製品全体の構造の見直し・最適化により 最大定格電圧・電流に対応したねじ止めタイプの
セルフコントロールプロテクターを製品化

ねじ止めタイプセルフコントロールプロテクター(SCP)構造概念図
  1. ケース部分の使用材料変更でアーク放電抑制
  2. ヒューズエレメントに厚みを持たせ、ヒューズ抵抗抑制
  3. 基板部分の材料最適化完全鉛フリーを実現
  • 最大定格電圧
  • 最大定格電流
  • 環境対応

※従来品比で56%アップ

すでに複数のメーカーから引き合いがあり、電動バイクや蓄電池などへの採用を目指す

当社は今後も、SCPの高電圧、大電流対応や小型化などの開発をすすめ、幅広いアプリケーションにおけるリチウムイオンバッテリーの安全性向上を実現することで、カーボンニュートラルの推進や社会のデジタル化、IoT化を支え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。