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製品/技術/研究開発

蛍光体フィルム「PSシリーズ」を製品化。事業の垂直立ち上げによる大きな業績寄与を見込む

高画質化への進化が著しい液晶ディスプレイ業界では、光を効率よく取り出すことができて明暗を制御しやすい直下型バックライトの採用が広がっています。バックライトの光源は、白色LEDが主流ですが、一般的に青色LEDのチップごとに蛍光体を充填して白色化を実現するため、チップごとの色のばらつきが発生しやすいという課題がありました。
そこで、当社は2021年4月に蛍光体フィルム「PSシリーズ」を開発・製品化しました。

蛍光体フィルム「PSシリーズ」は、緑色と赤色の蛍光体をフィルム状にしたもので、ディスプレイ内部に組み込むことで、蛍光体を塗布しない青色LEDを光源に使用することができます。このため、発光具合にばらつきが少なく、高い品質のディスプレイの製造を可能にします。また、光源が青色単色になるため、白色LEDを光源に用いた場合に比べてLEDの配光制御が容易になり、光源と拡散板の距離を近づけることができることからディスプレイ全体の薄型化にも貢献します。

蛍光体フィルムの使用例(直下型LEDバックライトを用いた液晶ディスプレイ断面図 

独自の要素技術

蛍光体フィルム「PSシリーズ」で用いる硫化物緑蛍光体は、当社の要素技術である無機材料合成技術により、一般的な緑蛍光体に比べて鮮やかな発光を実現し、液晶ディスプレイの広色域化に貢献しています。
右下図は発光スペクトルと呼ばれる、光の強さを示す指標をグラフ化したものですが、一般的な緑蛍光体に比べて隆起部分が細くなっており、発光がシャープであることを示しています。また、蛍光体の粒子径を小さくして蛍光体フィルムの発光ムラを抑制しつつ、粒子の表面に特殊処理を施すことで耐湿性を向上させ、バリアフィルムを用いずにフィルム化することを実現しました。

硫化物緑蛍光体の発光スペクトル

色域(CIE-1931色度図)

※PL:Photoluminescence(フォトルミネッセンス)

ダイクロイックフィルターとの組み合わせ構造(特許取得)

蛍光体フィルム「PSシリーズ」はさらに、蛍光体フィルムの下部に青色光だけを透過し、緑色の光、赤色の光を反射するダイクロイックフィルターを取り付けることで、光の取り出し効率を向上させています。青色LEDから出た青色光はその一部が蛍光体によって緑色光や赤色光に変換され混色し、白色光が合成されますが、白色光の一部は光源のLEDの方向に向かって反射します。ダイクロイックフィルターはこの反射光中の赤色光と緑色光を透過方向に再度反射することで、バックライト内部における光の損失を防ぎ、高効率な光の取り出しと正確な光のコントロールを可能にします。
蛍光体フィルムとダイクロイックフィルターを組み合わせて使用する光源の構造については、日本、アメリカ、中国、韓国にて特許を取得しています。

ダイクロイックフィルターの効果イメージ(直下型LEDディスプレイ断面図)

蛍光体フィルム「PSシリーズ」は高精細液晶ディスプレイへの採用が決定しており、FY20.4Qから既に量産が始まっています。FY21には業績に大きく貢献する見込みです。今後さらなる事業拡大を目指し、販売促進に努めます。