デクセリアルズ Now to Next

代表取締役 専務執行役員
指名・報酬委員
佐竹 俊哉

社外取締役
指名・報酬委員長
平野 正雄

社外取締役
指名・報酬委員
佐藤 りか

経営/戦略

社外取締役から見たデクセリアルズのガバナンス

本コーナーでは、2015年6月から当社社外取締役を務める平野正雄氏と、2015年6月からの社外監査役を経て2019年6月から社外取締役を務める佐藤りか氏の両名を交え、当社代表取締役佐竹俊哉が、デクセリアルズのガバナンスをテーマにおこなった対談をご紹介します。

佐竹2015年の上場以来維持している、取締役会の過半数を社外役員が占める体制についてどのように評価していますか。

平野2015年当初から外部の視点を経営に取り入れようとする意欲的な姿勢があり、良い意味での緊張感を保ちながら、社内外役員の間に信頼関係が醸成されており、健全なガバナンスが効いていると評価しています。

佐藤取締役会の運営上の不安定要素となりうるとの懸念もあってか、社外取締役を過半とする日本企業はまだ多くありませんが、当社は、役員間の信頼関係をベースに問題なく運営ができており、高く評価しています。取締役・監査役の一人ひとりが、まとまりのある取締役会をつくろうとする意欲が強いことが作用していると思います。

佐竹取締役会の実効性評価についてはどう思われますか。自己評価も含めたレビューを提出いただき、第三者によるインタビューも行った上で、取締役会として課題に対するアクションプランを毎年策定し取り組んでいます。このプロセスについてのご意見を聞かせてください。

平野まさに経営理念「Integrity」を体現しているガバナンス面での好例だと思います。この真面目で丁寧かつ誠実なプロセスがあって、これまでガバナンスの質の向上が進んできたと高く評価しています。

佐藤形式的なアンケートへの回答や単なる集計値としてのフィードバックでは見えてこない、立体的なフィードバックに努めつつ、真面目にアクションプランに取り組んでおり、高く評価できると思います。また、ガバナンスを大事な取り組みとしっかり認識されていることに感謝もしています。

佐竹今年はコロナ禍で取締役会もオンラインでの開催が多くなりました。率直なご意見を聞かせてください。

平野オンラインでも、対面と同様のクオリティを実現すべく、十分留意された運営がなされていたと思います。開催前には、資料の事前配布や通信環境のチェックなどの配慮が徹底され、実際の運営も議長が参加者の意思確認などを丁寧に対応されており、質の面でもしっかり担保されていました。私も対面開催と変わらず質問や指摘をさせていただきましたし、オンライン開催ゆえに、審議の質が劣化したという認識は私にはありません。

佐藤そうですね。配慮や進行などには十分満足感がありました。新任がいないこともあり、取締役会メンバー相互の信頼関係が築けていた点も幸運でした。途中から対面とオンラインのハイブリッド形式になりましたが、コミュニケーションの質としてはやはり対面の方がやりやすさを感じました。

佐竹今年10月の機構改革に伴う執行体制の見直しについてはどう評価していますか。

佐藤トップの交代や機構改革の実施は、ときに組織に大きな摩擦を起こし、その収拾にエネルギーを使うことで経営が弱体化するケースもあります。しかし当社は、前社長からの引継ぎや、今回の機構改革についても非常に円滑かつ順調に進んでおり、新しい役割に就いた方々からも「これからやっていくぞ!」という気概を感じます。新しい風を取り入れながら、当社がさらに発展していく、そのポテンシャルを感じています。

平野事業の選択と集中、構造改革、外部の経営人材の登用も含めた経営体制の刷新と活性化など、とてもスピーディに経営改革を推し進め、業績にも成果が表れるなど、現経営陣の経営手腕を高く評価しています。当社には、真面目で丁寧で誠実な社風が良き美徳として中核にありますが、今後は、その美徳を維持しながら、上意下達ではなく、現場の自由闊達な議論を通じて、主体性・積極性を発揮して物事を進めていこうとする活力やダイナミズムを生み出していくことを期待しています。

佐竹取締役会の運営についてはどのように評価されていますか。

平野5年前から少しずつ改善されており、想定している時間配分にとらわれず、議論が必要な議題については、しっかり議論できていると思います。ガバナンスは、形式もさることながら、実質が大事です。議題の中でも重要事項は個別に事前に説明をいただいており、以前に比べると、当社の業績面や見通しなどの実態についてかなり感覚をつかめるようになってきました。今後は、さらに現場やオペレーションの実態や社員の意識調査などについても引き続き共有いただければ、より的確な問題提起や指摘ができるようになると思います。

佐藤よりメリハリをつけて議論すべきところを重点的に議論できるような運営になったという変化を感じますし、突っ込んだ実質的な議論や意見交換がしやすい雰囲気もあると思います。また、事前に配布される審議資料やブリーフィングが非常に丁寧で、模範的な情報提供だと評価しています。

佐竹取締役会としてのダイバーシティの在り方についてはどう思われますか。

佐藤経営への女性の参画について、以前は自分も含めて2名いたので、そういう点で、現状では1名減とはなりましたが、監査役としてローバック氏が参画されたことで国籍という面での多様性が広がったと思います。グローバルでの成長は今後の課題でもポテンシャルでもあるので、そういう視点でも多様性の拡充は、役員に限らず会社全体で重要だと思います。

平野デモグラフィックな多様性に限らず、同じ男性でも多様なバックグラウンドがあることもダイバーシティだと思いますから、常にそうした意識を念頭に人選をしていく必要があると思います。

佐竹現在進めている次世代経営人材育成プログラムを通じて、女性や海外の経営メンバーがコラボレーションしながら活躍できる経営チームをどうつくっていくかを考えていきたいと思います。次に、指名・報酬委員会を昨年設置し、平野委員長のもと、この2年間でサクセッションプランに関する議論の過程で社長の要件定義や取締役の報酬決定にあたってのKPIの検討を進めてきました。振り返ってのコメントをいただけますか。

佐藤指名報酬の在り方は、フェアな評価を担保するという点において、経営幹部に限らず社員全体の士気を引き出す成長の源泉だと思います。外部機関も起用しながら、精緻かつ実のある検討をしてきましたが、委員会の中での議論の透明性や客観性が確保されていくことで当社のさらなる発展につながることとなる大事な取り組みだと考えます。

平野これまで指名・報酬委員会においては、後継者候補となる人材の客観的な評価や、報酬水準のベンチマークなど、内部での議論では不足する部分を外部の専門機関を活用して補いながら検討を進めてきました。その成果が見られたのが、前回の社長交代です。適切な人選と交代ができたことで、身をもってサクセッションプランの重要性を体感しました。現社長には強いリーダーシップで当面、当社を引っ張ってもらいたいと思いますが、経営人材の育成は会社の根幹を支える重要な業務として、今も継続的に外部の専門家を活用しながらグローバル視点で客観的な人材評価を進めています。報酬制度も同様に、外部からの人材獲得を今後も続けていくことから、世界水準比較で十分妥当な報酬体系を継続し、高い能力を発揮し成果を導いた人材に対して適切に報いていくために議論を重ねています。経営人材やリーダーの育成は会社の能力を高めていく根幹ですから、指名・報酬委員会では、社長のサクセッションのみ議論するのではなく継続的にリーダーを育成し、リーダー層を厚くしていくことについても検討することが大事だと認識しています。

佐竹取締役会において実質的な議論をおこなうのが難しい指名報酬や経営人材の育成に関して、改めて、委員会を通じて丁寧に議論を進めることができていることを実感しています。次に、社外取締役に求められる役割についてどのようにお考えか、お聞かせください。

平野一義的には、株主からの付託を受けての監督者ということになりますが、株主だけでなく、お客さま、お取引先、社員などさまざまなステークホルダーの立場や利益を意識しながら、業務執行とは距離感を保ちつつ、経営の意思決定が健全で、企業価値の向上につながるかどうかという視座で検証していくことが大事だと思います。

佐藤会社の議決プロセスの中で、プロス&コンズの両方を踏まえた中で、どう意思決定をしたのか、その判断の過程における健全性を担保することが役割だと思っています。また、社外役員が入ることによって議決に際してより自由な議論がしやすくなり、その結果として審議の透明性と客観性の一層の確保に役に立っている部分もあるかと思います。その一方で、経営に深く入り込みすぎたがゆえに執行側との関係性が悪化した例も他社にはあるとも聞いており、社外役員として求められる立ち位置の難しさを感じることもあります。

平野重要なのは、緊張感と信頼感の両方ですよね。執行側との信頼関係があり、お互いが耳を傾け、直言できる関係性がある。また、社外の付託を受けた立場として、ステークホルダーの立場で毅然とした問題提起なり意見表明ができるといった緊張感。この両方が求められると思います。

佐竹当社のガバナンス体制のさらなる向上に向けてのアドバイスと、ステークホルダーの皆さまに一言、お願いします。

平野当社のガバナンスは、形式だけでなく実質を担保するという点で、着実に質的な向上を果たしてきました。実質を担保するという重要な部分を支えるのが、一つは重要課題を適切に社外役員とも共有する情報開示であり、もう一つが、社外役員としてしっかり現場・経営感覚を持って会社の価値向上に向けてコミットする意識を持つことだと思います。当社はもとより「Integrity」という誠実で真面目な企業文化が埋め込まれており、この美徳のうえに、現体制下で活力や成長志向を注ぎ込もうとしています。この成果は業績にも表れてくると思いますし、ステークホルダーの皆さまには、大いに期待していただきたいと思います。社内の関係者の皆さまとは、そうした次のデクセリアルズをともにつくっていきたいと思います。

佐藤現経営陣は、これまでも十分に、ガバナンス向上のためのさまざまな努力、検討、工夫をされてきたと思います。今後も継続的な取り組みを期待していますが、取り組みの継続性を担保するうえでは、コミュニケーションの在り様を仕組みとして考えていくことが大事になると考えています。信頼関係の構築もコミュニケーション努力があってのことです。また、経営理念「Integrity」は、社員が何か判断に迷ったときに立ち返る原点として非常に重要な価値観であり、今後も常に当社を貫くものとして大事にしていただきたいと思います。当社はこれまでも数々のイノベーションを生み出してきましたが、新しいアイデアや新しいものを生み出す力は、“遊び”や“伸びしろ”から生まれてくる部分も多いと思いますので、そういう部分も大切にしてほしいと考えます。今後も、当社が健全でバランスの良い成長を実現することができるよう、コンプライアンスを含めガバナンスの保たれた環境の維持・整備に社外役員として貢献していきますので、ステークホルダーの皆さまには引き続き応援いただけますようお願い申し上げます。