ガバナンス
リスクマネジメント
当社グループでは、リスクを事業目標の達成を阻害する要因、事業継続を停止させるものと定義しており、操業安全と事業継続性を確保し、顧客への供給責任等を果たすため、グループ全体で統合的に当社の経営や社会におよぼすリスクを想定し、リスク低減措置を講じています。
リスクマネジメント体制
昨今のコロナ禍の影響や常態化するサイバー攻撃を機に、社会の不確実性が高まるなかで今後新たに出現する未知のリスクに対応し、企業としてのレジリエンスを高めるにはより高度なリスク管理が必要との認識から、2021年10月にリスク管理専門部署を新設し、2022年度から体制やリスク管理手法の再整備およびリスク管理活動の強化に取り組んでいます。
当社グループは、リスク管理に関する規定に基づき、代表取締役がリスクマネジメント最高責任者として、担当執行役員をリスク管理者として任命し、リスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会は各機能専門領域のリスク部会を設け、重要度の高いリスクについて協議し、リスク対応状況を定期的に執行役員会へ報告します。リスク対応を評価・是正のうえ取締役会へ報告しています。
リスクマネジメントプロセス
社内外の環境は日々刻々と変化するため、適切なタイミングで対策を講じられるように、リスクマネジメント委員会を中心として、以下のプロセスでリスク管理をしています。
- 1:網羅的にリスクを抽出し、具体的な事象想定や顕在化シナリオによる分析
- 2:リスクを定性的・定量的にスコア化してリスク評価を実施
- 3:スコアの高いリスクを会社の経営や事業運営に重大な影響をおよぼす「重点対応リスク」に選定して優先的に対応
- 4:リスク対応を策定して実行
- 5:月次でのモニタリング内容を執行役員会で把握し指示
- 6:半期に一度のレビューを通じて継続的に改善
➔ 次年度「重点対応リスク」はリスク抽出時に見直し、さらなる対応を審議
リスクマネジメントの体制とプロセス
BCP(事業継続計画)活動
地震や台風、その他気候変動による自然災害は、事業に必要な人員や設備、ライフラインに甚大な被害をおよぼす可能性があります。
当社グループは、事業に重大な影響を与える可能性のある災害や事故の未然防止、または被害を最小限にするための社員教育や、設備や作業の安全対策・改善を計画的に実施しています。
また、災害や事故で被害を受けた際でも事業を継続するために、必要な事業継続計画の策定、訓練、および計画の見直しを実施しています。
2022年度は安否システム運用の見直しのほか、緊急時の通信手段などの細則を新たに制定しました。これにより災害発生時、迅速に社員の安否確認に対応することができました。
また、社員などの業務に携わる人々の生命の安全を確保したうえで、BCPを遅滞なく実行に移し、損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るため、BCP推進体制の強化を進めています。
そのうえで、BCPの仕組みや対応力の到達目標レベルを明確にし、DXの導入や有事の際に影響有無が判定できるモニタリングシステムの整備、全社横断訓練の実施など、総合的なBCPの強化をおこなっています。
BCPの組織構成と機能役割
情報と指示の統制のため、2021年度に災害発生・有事の際にグループ全体を統括するコーポレート災害対策本部と拠点・グループ会社の初動対応、復旧対応をおこなう災害対策室の組織体制を見直しました。
コーポレート災害対策本部は、機能ごとのチーム制による組織体制を整え、全体統括の本部長のもと、指令長と各チームリーダーで構成する戦略情報チームと各機能チームで構成しています。災害対策室は事業所責任者である室長のもと、災害対策室に必要な役割を組織し構成する体制に見直すことで機動性を向上しました。
有事の際は、安否確認システムを利用して、コーポレート災害対策本部・災害対策室の設立指示を発信し組織メンバーを迅速に招集します。
BCPの強化と教育・訓練の実施
有事の際のBCPの強化を目的に、BCP訓練を通して情報の収集や共有、対応検討や復旧計画など各種ツールの導入およびリモート環境の整備、リモートツールの導入など、組織統制と拠点間連携の向上を図り、機動性の向上を進めています。
特に2022年度は、子会社での被災を想定したBCP訓練を実施し、子会社とも連携したBCPの強化を進めています。
また、2023年3月にはお客さまや株主・地域の皆さま、社員などのステークホルダーとのコミュニケーションを図るための施設として新設したレセプション棟内に太陽光発電を活用した災害用コンセントを設置するなど、被災時の初動対応や通信手段の確保に備えました。
- リモートによるBCPの訓練
コーポレート災害対策本部への参集に加え、ロケーションが数拠点にまたがる想定やチームメンバーの在宅対応など、リモート対応を想定した訓練をおこなっています。
情報の整理や共有、対応の状況や協議など訓練を通して、従来よりBCPに使用しているツールの改善やリモートに必要なツール、環境の整備をおこないました。BCPツールやグッズなどは、コーポレート災害対策本部、拠点・グループ会社災害対策室に保管しており、有事の際は迅速に対応できるよう備えています。
音声通話やデータ通信の不通も想定し、衛星電話、MCA(Multi Channel Access)無線を各拠点に装備し、定期的な通話訓練や機器点検をおこない、不測の事態にも備えています。
- 防災訓練
災害発生時・有事の際は、人的被害の防止・軽減、二次災害防止のための緊急時対応を迅速かつ適切におこなうことが必要です。当社では、毎年、火災を想定した消火・避難訓練、地震を想定した総合防災訓練、安否確認システムを使った安否確認訓練など、コロナ禍においても全員訓練を実施し、防災においても、仕組みの改善と対応力の向上を進めています。災害発生時の帰宅困難者を想定して、備蓄品や災害備品を各拠点にて保管・管理しています。保管情報は一元管理・共有し、拠点間の支援にも備えています。社員への出社待機・出社指示など緊急指示や連絡は、安否確認システムを利用して、迅速に伝える体制を整備しています。